秋の七草の覚え方。意味や由来は?食べることはできる?
秋の七草というと「七草があるのは知っているけれどよく覚えてないな‥」という方が多いのではないでしょうか。
春の七草のようにスーパーで売っていたり、食事にしたりということがないため、なかなか覚えられにくいようです。
でも秋の七草は鑑賞して楽しむものなのですよ。この機会にぜひ秋の七草についていろいろと学んでみませんか?
今回は、秋の七草の意味や由来、覚え方などをご紹介します。
・秋の七草とは?意味は?
・秋の七草の由来は?
・秋の七草の種類や漢字の書き方は?
・秋の七草の覚え方は?
・春の七草粥のように食べることはできるの?
秋の七草とは?意味は?
春の七草は、邪気を払うといった意味などがあり、七草粥を食することができます。
では、秋の七草はどうでしょうか。
特に、秋の七草を使った神事があったりとか、食事をしたりといったようなことはありません。
ちょうど9月ころになると野に咲くようになり、「そろそろ夏が過ぎて秋が来たんだな」と鑑賞するのが秋の七草の楽しみ方でしょう。
秋の七草の由来は?
ではなぜ秋の七草と言われるようになったのでしょうか。それは昔、この七草を読んだ歌があったのが由来です。
「万葉集」という和歌集はご存知でしょうか。その中で、歌人として有名な「山上憶良(やまのうえのおくら)」が下記の歌を詠んでいます。
「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花」
「萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 女郎花 また藤袴 朝貌(あさがお)の花」
※朝貌の花は諸説ありますが、桔梗(ききょう)のことを指しているといわれています。
歌の様子からも「秋が来たんだな」ということを楽しんでいることがうかがえますね。
でもこの歌が詠まれたのは1200年ほど前のことですから、この歌が元となり、秋の情景を歌で表すときに、これらの花々の名前が多く使われるようになったということでしょう。
秋の七草の種類や漢字の書き方は?
それでは秋の七草についてご紹介しますね。
萩(はぎ)
万葉集でも最も多く詠まれている秋の代表花の一つで、可憐な姿をしています。痩せた土地でも育つ丈夫な花。
秋のお彼岸にお供えする「おはぎ」はこの萩からきているのですよ。
尾花(おばな)
すすき(薄)と言ったらわかりやすいかもしれませんね。花穂の様子から尾花ともよばれている、秋を感じさせるイネ科の植物です。
昔は「茅(かや)」とよばれていて屋根の材料などに使われていました。日当たりの良い場所で良く見られますね。
葛(くず)
葛の根には大量のでんぷんが含まれ、和菓子やくず餅の原料となる葛粉が取れます。根は薬の葛根湯に。
この葛は小さな葉を図案化して家紋としている方が多いようです。皇族でも高円宮家野絢子女王のお印にもなっています。
撫子(なでしこ)
可愛らしい濃いピンクの花が咲きます。花弁が深く裂けているのが特徴ですね。
カワラナデシコのことをさし、河原に多く咲いていますよ。
「大和撫子」の語源もこの撫子から来ています。
女郎花(おみなえし)
8月~10月にかけて可愛らしい黄色の小さい花を咲かせます。
日当たりの良い草原などでよく見かけます。
乾燥したものは、解熱や解毒効果があるとされています。
藤袴(ふじばかま)
中国原産ですが、野生種が今はかなり減ってきていて、準絶滅危惧種に指定されているそうです。
藤袴は乾燥させるとにおいが強くなります。そこで昔の貴族の人達は、香水代わりに衣服や髪の毛につけたりしていました。
川岸の土手などに多く見られますよ。
桔梗(ききょう)
紫の花が美しい桔梗ですが、自生株が減りつつあり絶滅危惧樹に指定されているようです。根は漢方にも。
桔梗を「市の花」としているところもあります。
桔梗の形が安倍晴明が使った五芒星(ごぼうせい)に似ているところから、桔梗印とよばれ、晴明神社の神紋にもなっています。
また、美しい花の形が好まれ、家紋などにも良く取り入れられていました。
秋の七草の覚え方は?
秋の七草はなかなか覚えられないという方、学生時代に年表を覚えるのに語呂合わせで覚えられた方多いと思います。
秋の七草も語呂合わせという覚え方があるのですよ。
「お好きな服は?」
お:おばな
す:すすき
き:ききょう
な:なでしこ
ふ:ふじばかま
く:くず
は:はぎ
「ハスキーなお袋」
は:はぎ
す:すすき
き:ききょう
な:なでしこ
お:おみなえし
ふ:ふじばかま
く:くず
ろ
「大きな袴はく」
お:おみなえし
お:おばな
き:ききょう
な:なでしこ
はかま:ふじばかま
は:はぎ
く:くず
「ナスは服を着る」
な:なでしこ
す:すすき
は:はぎ
ふ:ふじばかま
く:くず
を:おみなえし
き:ききょう
る
そのほかにも「五・七・五・七・七」のリズムでの覚え方もあります。
葛(くず)・女郎花(おみなえし)
藤袴(ふじばかま)
尾花(おばな)・撫子(なでしこ)
秋の七草~
いかがでしょう。いろいろな覚え方がありますね。
自分ならこれが分かりやすいという覚え方でおぼえてみてくださいね。
春の七草粥のように食べることはできるの?
秋の七草は食べることはできません。
ですが、秋の七草は昔から漢方薬として使われているところがあります。
例えば下記のような効果があるとされていますよ。
桔梗の根 → サポニンを多く含んでいて咳をしずめたり鎮痛・解熱の作用があります。
女郎花 → 全草を乾燥して煎じたものは、解熱・解毒作用があります。
撫子 → むくみや高血圧に効きます。
藤袴 → かゆみを取ります。
萩の根 → 咳を止める効果があります。
葛の根 → 乾燥させてから作る葛根は風邪薬として使われます。
秋の七草をすらすらと言えるように!
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秋の七草の意味や由来、覚え方などをお送りしました。
春の七草に隠れてしまいがちな秋の七草ですが、昔の歌人が詠んだ歌から始まったものだということが分かりましたね。
ご紹介した覚え方で秋の七草を覚えていただいて、秋になったら道すがら探してみるのも風情があってよいのではないでしょうか。