神社の鳥居の意味。朱色の理由は?形の種類やくぐり方
私たちにとって神社にある鳥居は見慣れたものですが、その意味を考えることは少ないかもしれませんね。
神社のシンボルとして自然に受け入れていますが、そもそも鳥居とはどういう意味があるものなのでしょうか?
あの朱色が意味するものは?
神社ではない場所に鳥居があるのは何故?
今回は、鳥居についての素朴な疑問について下記の流れで答えていきたいと思います。
・鳥居にはどんな意味があるの?神社に鳥居ができた由来は?
・神社の鳥居が朱色の理由は?他の色もあるの?
・鳥居の形にはどんな種類があるの?
・神社の鳥居の正しいくぐり方とは?
鳥居にはどんな意味があるの?神社に鳥居ができた由来は?
鳥居の由来と意味
鳥居は「結界」です。
結界というのは、「神の領域を表すもの」。鳥居は、神様の場所への玄関口。鳥居の先は神様の領域なのです。
ですから、鳥居をくぐるときは、神様のお宅にお邪魔する気持ちでくぐるといいですね。
では、鳥居という言葉はどこからきているのでしょうか?
「鳥居」という名前の語源は諸説ありますが、有力とされているのが古事記の天岩戸(あまのいわと)説です。
天岩戸に閉じこもってしまった天照大神に出てきてもらうために、岩戸の入り口にあった宿り木に鶏を乗せ、鳴かせたという言い伝えがあります。
鳥が乗った木の向こうに神様がいるという様子。
それがそのまま鳥居という建造物になったという由来です。
その他にも
・「止まり木」(あるいは「神前止まり木」)が転じたとする説。
・「とおりいる」(通り入る)が転じたとする説。
などがあります。
神社に鳥居があるわけは?神社以外にある鳥居はなに?
先ほども説明したように、鳥居が意味するのは「結界」です。
神様のお住まいである神社への玄関口として、神様の領域の目印として鳥居が建てられているのです。
神社だけでなく、日本人は大岩や、滝、大木など神々しさを感じさせる物や場所に縄を張って祀ってきました。
ご神木に縄がかけてあるのを見たことがある人も多いと思います。
一説によると、この縄が鳥居に変化していったという説もあるんですよ。
山や海そのものをご神体とするところでは、社殿がない場所に鳥居があったりするのも同じ理由です。
神社の鳥居が朱色の理由は?他の色もあるの?
鳥居といえば思い浮かべるのは朱色ですか?
それとも石や白木の色でしょうか?
もともと神社の鳥居は「神聖」という意味をもつ白木が主流でした。
でも、仏教の伝来で鳥居の色が変化します。
仏さまが日本人に受け入れられると、神様と仏様を一緒に祀った「神仏習合」という考え方が定着しました。
朱色は仏教から伝わってきた色で、神仏習合により鳥居も白木から朱色に変えられていきました。
仏教では朱色は魔よけの意味があります。
鳥居は結界なので、それだけで魔よけの意味合いもあるのですが、朱色を塗ることで、さらに守る力を強めたのでしょう。
鳥居の形にはどんな種類があるの?
鳥居の種類はかなり多く、その数は60種類以上。
とても全ての種類をご紹介することはできませんので、ここでは主なものを見ていきましょう。
まずは、神明系です。
伊勢神宮や靖国神社などの鳥居です。
貫は角材で柱の外には通さない、笠木は丸太で切り口は垂直、島木がないなどの特徴がありますが、まずは一番の特徴である「柱が円柱で、垂直に立っている」という点を抑えておけばいいでしょう。
■伊勢鳥居(神明系)
笠木が五角形になっている。
■鹿島鳥居(神明系)
貫が四角で、柱から出ている。
■靖国鳥居(神明系)
貫が四角になっている。
次に明神系です。
八幡神社、山王神社などの鳥居です。
一番の特徴は、「柱の上部が内側に傾斜する」という点と「貫の中央に額束(がくそく)を載せる」という点です。
その他の特徴は、柱が台石の上に立っている、貫は柱を通す。
貫の切り口は垂直、貫に楔をつける、島木、笠木が反っているなどです。
その他に有名な鳥居の形は、島木神明系、三輪系、合掌系などですが、これらも明神系の一種です。
■八幡鳥居(明神系)
笠木の端が斜めになっている。
■山王鳥居(明神系)
柱が垂直で笠木も貫も円柱。
■両部鳥居(明神系)
柱に袖柱が付属している。
■三輪鳥居
横に脇鳥居が付属しています。
珍しいところでは、三柱鳥居(みはしらとりい)といって、三本の柱を正三角形に建てられた鳥居もあるんですよ。
神社の鳥居の正しいくぐり方とは?
先ほど書いたように、鳥居が意味するのは、「神域と人の暮らす俗界の境界」です。
鳥居の前まで来たら、帽子や日傘などは取ります。
コートなども脱ぐのが正式な参拝の方法ですが、あまりにも寒い時や、健康上の理由などがある場合は許されるのではないでしょうか?
鳥居をくぐる前に、神さまへの敬意と「これからご領域に足を踏み入れさせていただきます」との気持ちを込めて鳥居の前で一礼しましょう。
この時、鳥居の真ん中で立ち止まるのは避けましょう。
参道中央は神様がとおる道だからです。
もちろん、参道を歩くときも真ん中は避けるようにしてくださいね。
参拝が終わって帰る時も、鳥居を出たところで社殿に向かって一礼します。
ところで、喪中に神社を参拝するときには、「鳥居をくぐらずに鳥居の外を通る」と聞いたことはありませんか?
鳥居の意味を考えると、なぜ、このような話が広まっているのか不思議ですよね。
喪中(故人が亡くなって一年間)でも、忌中でなければ神社に参拝しても差し障りはありません。
逆に忌中には、参拝自体を控えるべきとされています。
忌中の期間は、次の通りです。
父母・夫・妻・子…50日祖父母・孫・兄弟姉妹…30日
曾祖父母・ひ孫・甥・姪・伯叔父母…10日
その他の親族…3日
鳥居があるところは神様の領域
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今回は、神社にある鳥居の意味や種類についてご紹介しました。
鳥居は、神様の領域を表す結界だということ、鳥居の形には色々な種類があるという事が分かりましたね。
神社に参拝するのは神様の家にお邪魔すると考えれば、玄関である鳥居の前で一礼、帰る時にも一礼、も自然なことに感じられますね。
神社に参拝するときには記事を思い出して鳥居をくぐっていただければと思います。