【月見団子の由来】団子の数や並べ方の意味は?お供えする理由は?
お月見は秋の夜空に浮かぶ月を愛でるイベント。
季節を感じながら月を眺めてお団子を食べるという、日本で古くから行われてきたお馴染の風習です。
とても風流で、秋の夜長を楽しむにはもってこいの行事ですね。
ところで、お月見にお団子やススキを供える理由をご存知でしょうか。
飾ってはいるけれど由来までは知らないという人も多いのではないかと思います。
今回は、月見団子の由来、お団子の数や並べ方、お供えの意味などについてご紹介します。
この記事の目次
お月見の由来は?
お月見というのは、旧暦8月15日と旧暦9月13日に月を観賞する行事です。
旧暦8月15日は、「十五夜」「中秋の名月」「芋名月」と呼ばれています。
旧暦9月13日は、「十三夜」「栗名月(くりめいげつ)」「豆名月(まめめいげつ)」などと呼ばれます。
また、中秋の名月の後なので、「後(のち)の月見」と言われたりもします。
現在では、中秋の名月にあたる旧暦8月15日だけを指すことが多くなっています。
けれども、十五夜と十三夜、どちらか一方だけ見ることは『片見月』といって、縁起が悪いといわれています。
ぜひ十五夜と十三夜の新暦の日にちを確認して、両方鑑賞してみてくださいね。
月見の由来
月を信仰の対象とする風習は世界中に見られますね。
日本でもはるか昔から月を崇め愛し眺めてきました。
月を眺めて愛でる風習は、縄文時代から始まったともいわれているんですよ。
今日のお月見はどのようにして確立したのでしょうか。
それには4つの説があります。
【望月】
中国では仲秋の十五夜に月を眺めて楽しむ「望月」という行事がありました。
この習慣が、貞観年間(859~877年)ごろに中国から伝わると、もともと月を愛でる習慣があった平安貴族の間に広まります。
平安時代は、直接月を見るのではなく、池や杯に満たした酒に映る月を眺めました。
そのため、月見にはお酒がつきものだったようです。
今でも、月見酒といって月を見ながらお酒を飲む習慣がありますね。
【里芋の収穫祭】
十三夜は日本固有の風習ですが、仲秋の頃は里芋など秋の農作物の収穫期にあたります。
農作物を無事に収穫できることに感謝して、お月様に里芋をお供えしました。
また、里芋は一株でどんどん増えることから、子孫繁栄を表す縁起物ともされています。
このように、秋の収穫への感謝を込め、仲秋の名月を『芋名月』と呼ぶ地域もあります。
「望月」も「収穫祭」もどちらも最初は貴族だけで楽しむ行事だったようですが、江戸時代頃から庶民にも広まりました。
ですから日本では、月見は月を愛でるだけでなく、月に感謝をし農作物の豊作を祈願する行事として定着したのですね。
【稲の豊作祈願】
仲秋の頃は、稲の収穫間近の時期です。
ですから、月に豊作を祈願するお供え物をしました。
お供え物として、ススキではなく稲穂を供える地域もあります。
【月への感謝】
電気がなかった時代には、月明かりは夜間の照明代わりにもなる大事なものでした。
ですから、一年で最も月が美しい夜に、月への感謝のお供え物をして感謝を表したのです。
お月見団子をお供えする意味や由来は?
お月見は、農作物の豊作の祈願と、収穫の感謝をする行事です。
中秋の名月は、別名「芋名月」と呼ばれるように、ちょうどサトイモの収穫時期と重なります。
ですから、お月見の時には、収穫したばかりの里芋がお供えされていました。
時代が移り変わるにつれて、お供え物は収穫物から団子へと変わっていきます。
江戸時代には、お月見の時期である秋に収穫されるお米で作った団子や芋を月に供えるようになりました。
月見団子はお月さまへの感謝
月見団子の形は、関東地方では丸い形、関西ではサトイモの形をしています。
関東地方の丸い形は、満月の形を模したものです。
一方関西地方のサトイモの形は、サトイモを供えていた頃の名残です。
どちらの月見団子も、お月さまへの感謝と収穫物への感謝を込めた姿をしているんですね。
また、月に似せた団子を作ることで、月への信仰を表したとも言われています。
月見団子の数の由来は?
お月見団子は十五夜にちなんで15個お供えするのが主流です。
ほかには、1年間の満月の回数である12個(うるう年の際は13個)お供えするという地域や、15を簡略化した5個をお供えする地域があります。
十三夜を行う場合は、13個もしくは、3つお供えします。
月見団子の並べ方は?団子の数で違う?
丸い月見団子の並べ方
お団子は、1寸5分(約4.5cm)に作り、少しつぶします。
完全な球体にしないのは、亡くなった方の枕元に供える「枕だんご」になってしまうからです。
三方(さんぽう)に白い紙を置き、その上に団子を積んでいきます。
三方がなければ、お皿でもかまいません。
【15個の場合の積み方】
一段目に9個(3×3)、二段目に4個(2×2)、三段目に2個を盛ります。
三段目の2個は、正面からみて縦に2個並べます。
【13個の場合の積み方】
一段目に9個(3×3)、二段目に4個(2×2)並べます。
【12個の場合の積み方】
一段目に9個(3×3)、二段目に3個並べます。
【5個の場合】
一段目に4個(2×2)、二段目に1個積みます。
関西の月見団子
お月見は収穫への感謝を捧げる行事として庶民の間に広まったものですが、ちょうど十五夜の時期に実りを迎える里芋は、収穫の象徴として、お月見のときにお供えされてきました。
このことから、前述したように、地方によっては十五夜の月を芋名月と呼ぶところもあるほどです。
関西の月見団子は、この里芋に見立てた形をしています。
この形に作られた団子にこし餡を乗せるのですが、このこし餡は、雲をイメージしています。
雲に隠れる月をイメージしているなんて風流ですね。
そして、もう一つの特徴として、関西の月見団子は、積み上げません。
あんこが乗っているので、積み上げると形が崩れてしまうからです。
ほかにも、地方によって月見団子の形はいろいろです。
お供えした月見団子は食べてもいいの?
月見団子はお供えをしたら、お月様を見ながら食べてかまいません。
むしろお月見団子は食べることに意味があります。
お月見団子は、小さな子供が盗んで食べてもよいと言われているくらいで、月見泥棒と呼ばれています。
盗むというとなんだかビックリしますが、ハロウィンのように近所の月見団子を食べに行く習慣で、とても微笑ましい光景だったようですよ。そして団子を盗まれた家は豊作になるという言い伝えもあったのです。
また、月見団子を食べると子宝に恵まれるとも言われています。
そのため、嫁入り前の娘には食べさせてはいけないという風習が残っている地域があります。
月見団子以外のお供えは?
もともと、十三夜は、豆や栗を供えていました。
ですから、十三夜は「豆名月」「栗名月」とも呼ばれます。
十五夜は里芋を供えるので「芋名月」と呼ばれていますね。
季節の果物や栗、サトイモ、サツマイモなどのイモ類を供える地域もあります。
代表的なものを紹介します。
ススキ
すすきの穂が米の稲穂に似ているためです。
お米が豊作であることを祈るものなので、稲穂に似ているすすきを飾るようになったと言われています。
お月見の頃はまだ稲の収穫が終わっていないので、代わりに似たススキを飾るのです。
神様を招く依り代であり、魔よけの力があるともされています。
ただ、本来、神様の依り代は稲穂とされていますから、稲穂を飾る地域もありますよ。
秋の七草
秋の七草(ハギ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウ)もお供えに用いられます。
秋の花々
萩や桔梗、コスモスといった秋の花も一緒に飾られることも多いです。
花も一緒に供えると華やかで見栄えがしますね。
華やかなだけでなく、萩には、神様のお箸という意味があります。
萩を使って団子を食べるなんて神様は風流ですね。
ツルもの
葡萄のようなツルものを供えると、お月様とのつながりが強くなると言われています。
お月見は豊穣祈願と月への信仰
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月見団子の由来や並べ方、お団子以外のお供えなどをお送りしました。
お月見の行事は、月を愛でるだけでなく、農作物への感謝と、豊作祈願、月への信仰などがベースとなっていることが分かりましたね。
お月見をする時には、その由来にも思いを馳せていただければと思います。