【木枯らし1号の基準と条件】時期は?春一番との違いや2号は?
11月というと、日に日に気温が下がり、冬の便りともいえる『木枯らし1号』がやってきます。
木枯らしとは、晩秋から初冬にかけて吹く冷たい北よりの強風のことで、木を吹き枯らすということからきた呼び名です。
天気予報などで発表されるので、「木枯らし1号」は耳に馴染んだ言葉ですよね。
でも、そういえば「木枯らし2号」「木枯らし3号」という言葉は聞きません。
北風は冬の間ずっと吹いているのに不思議ですね。
今回は、そんな木枯らし1号について、時期や条件、春一番との違いや2号以降の有無などについてご紹介します。
木枯らし1号の発表には意外な条件があるんですよ。
・木枯らし1号の基準は?どんな条件で決まるの?
・木枯らし1号が吹く時期はいつ頃?
・木枯らし1号と春一番の違いは?
・木枯らし1号が吹かないことはあるの?2号はある?
木枯らし1号の基準は?どんな条件で決まるの?
気象庁によると「木枯らし」には、
という基準があります。
毎年一番初めに吹いた木枯らしが、『木枯らし1号』として発表されます。
でも実は、木枯らし1号が発表されるのは、関東地方(東京)と近畿地方(大阪)だけなんです。
これはなぜなのでしょうか。
考えられるのは、“木枯らし”は正式な観測情報ではなく、季節現象としてお知らせしている情報なので、全国的には発表せず、人口の多い東京(関東)と大阪(関西)だけなのではないかということです。
もう一つ、木枯らしが被害を及ぼすのは大きな平野部だけで、山間部では山に吹きあげられて風が弱まってしまうため、大きな平野がある地域でしか知らせる意味があまりないということですね。
木枯らし1号が吹く時期はいつ頃?
関東では、平均して11月5日頃に、関西では10日頃に吹くとされています。
ちょうど二十四節気の 『立冬』の時期ですね。
暦の上での「冬」の定義は、11月7日頃の立冬から2月4日頃の立春の前日までとされるため、まさに寒い季節の始まりを意味する言葉でもあります。
でも、これはあくまでも平均。
近年の平均をみると、木枯らし一号の日は遅れぎみです。
大阪では12月中旬になることさえあります。
木枯らしは季節風ですから、気候の変化の影響を大きくうけます。
気温の上昇などによって初冬の季節風が弱まると、遅れがちになるんです。
季節風の南限に近い大阪では、その影響が顕著に表れているという説も出ています。
11月末に吹く風という定義もそのうち変更しないと、現状に合わなくなってきているのかもしれません。
木枯らし1号と春一番の違いは?
木枯らし1号と春一番の違い
木枯らし1号が、「10月中旬~11月末、西高東低の冬型の気圧配置になった時に吹く、北寄りの風速8m/s以上の風」であるのに対して、
です。
春一番のそのほかの条件としては、
日本海で低気圧が発達し、初めて南寄りの風速8m/s以上の強風が吹き、それ以降気温が上昇する現象のきっかけとなるもの、とされています。
木枯らし1号は「号」なのに春一番は「番」なのはなぜ?
春一番は『番』なのに、なぜ木枯らし一号は『号』を使っているのか気になりませんか?
実は「春一番」と「木枯らし1号」は、気象庁が決めた言葉ではありません。
春一番は漁師の間で使われていた言葉です。
1859年3月中旬、現在の長崎県壱岐島沖で強い南風にあおられ漁船が転覆して多くの犠牲者がでるという事故がありました。
それ以降、漁師達は春先に吹く強い南風を「春一」「春二」と呼び警戒する慣習が生まれたのです。
それに対して“木枯らし”の由来は分かっていませんが、一説には奈良時代から使われていたとされるほど、かなり古くから使われてきた言葉です。
気象庁は、台風を「1号」「2号」と呼んでいるので、木枯らしも「1号」を使っているようです。
木枯らし1号が吹かないことはあるの?2号はある?
実際惜しくも条件に届かず、木枯らし1号に認定されない風はたくさんあるんですよ。
認定してもらえる風が一つも吹かない年は、いつの間にか季節が冬に移り変わってしまって、ぼんやりした冬の到来となるわけです。
逆に木枯らしが何度もやってくる年もあります。
気象庁からは、木枯らし1号の発表しかありませんが、木枯らし2号・3号にあたる風が実はきているんですね。
木枯らしは日本独特の言葉
【関連記事】
●霜が降りる条件。時期や理由は?気温や時間帯。霜柱とは違う?
木枯らし1号の時期や条件、春一番との違いなどについてお送りしました。
木枯らしは日本独特の表現で、外国では馴染みがありません。
英語やフランス語などの辞書には、木枯らしにあたる言葉は載っていないのです。
一語でズバリ対応する語はないということですね。
それに対して、日本では、木枯らしという言葉は古くから使われてきました。
木枯らしは一字で『凩』とも書きますが、これは日本で作られた漢字です。
風の省略形と「木」の二文字を結合して、それらの意味をあわせた会意文字と言われるものです。
わざわざ漢字を作ってしまうほど、日本人には馴染み深い風なんですね。
木枯らしを“焦がらし”とかけて心情を詠んだ和歌も多く残されていますから、興味のある方は調べてみてもおもしろいかもしれませんね。