卒業式の謝辞例文【中学・高校・大学】書き出しや締めの書き方は?
卒業式の謝辞を読むことになったみなさん、内容に悩んでいませんか?
謝辞はお手紙とは違い声に出して届ける文章ですから、内容はもちろん語感やリズムも大切です。
保護者代表で卒業式に謝辞をすることになった方は特に、お子さんにも立派に謝辞を述べる姿を見せたいですよね。
そこで今回は、卒業式の謝辞例文を、中学校、高校、大学の校種別にご紹介します。
あくまで一例ではありますが、ぜひ謝辞を準備する際の参考にしてみてくださいね。
この記事の目次
卒業式謝辞の時間や内容構成は?
目安時間は3分程度
挨拶やスピーチなど人前で話す時間は、約3分程度がベストで、長くても5分以内には収めたいところです。
みなさんも、挨拶やスピーチなどを聞く側になったことがありますよね。
どんなに素晴らしく心に響くことを述べていたとしても、それが長く続くうちに、「早く終わらないかな‥」という考えが頭をよぎってしまうものです。
そう思われてしまっては、せっかくの謝辞が台無しとなりかねません。
謝辞が完成したら、一度タイマーで時間を計測し、何度か読む練習をしておくとより安心です。
内容は大きく分けて三部構成
① 書き出し
時候のあいさつに続き、教職員の方々への感謝の気持ちを述べます。
② 本題
入学当初や学校生活の思い出、先生方から学んだこと、卒業生の成長の様子などを述べます。
お礼を述べる機会ですので、立派な内容をと構える必要はありません。
当たり障りのない典型的な謝辞よりも、保護者として素直に感じていた気持ちを述べることをおすすめします。
より具体的なエピソードがあると良いでしょう。
あまり個人的なことになりすぎず、誰でも経験していそうなエピソードを選ぶようにします。
③ 締め
あらためて感謝の気持ちを述べ、謝辞を締めくくります。
【中学校卒業式】保護者代表謝辞の内容と例文。
中学校卒業式謝辞の内容
最も多感な時期と言われる中学校ですが、卒業間際にもなると、子どもたちも落ち着いてくる頃です。
・ 中学校入学当初の思い出や多感な時期に突入したときの保護者としての戸惑い
・ 3年間正面から向き合って指導してくださった先生方への感謝の気持ち
などを述べると良いでしょう。
中学校卒業式謝辞の例文
すっかりと雪が溶けた地面のところどころには、春の訪れを知らせる小さな芽吹きが見られるようになりました。
本日は、○○年度卒業生のために、このように盛大な卒業式を催していただき、誠にありがとうございます。
僭越ではございますが、保護者を代表いたしまして一言お礼を述べさせていただきます。
卒業生が何列にもなり座っている光景をここから眺めますと、まさに3年前、まだ袖の長い制服に着られていた○○名の後ろ姿がよみがえります。
あの日、ここに登壇されていた校長先生を、子どもたちはどのような表情で見つめていたのでしょうか。
中学校は多感な時期であると良く言われるものですが、まだまだ子どもだと思っていた我が子が段々と大人びた表情に変わっていく様子に、戸惑いを覚えたこともありました。
学校での出来事を自分からは話してくれなくなったと気づいたときには、少し寂しさも覚えたものです。
そんなある日訪れた学校の保護者会で、どの家庭でも同じような不安を抱えていることを知りました。
そしてそんな私たち保護者に向かって先生は、こうおっしゃってくれました。
「子どもたちは一人ひとり順調に成長しています。親から離れようと自立し始めるのは、たっぷりと愛情が伝わっている証拠です。保護者の皆様が見えない場所では、私たちがしっかりと見守っていきます。」
子どもの変化に合わせて保護者である自分も変わらなければと思い焦っておりましたが、その言葉を聞き、今までと変わらない愛情をこれからも注いでいけば良いのだと安心したことを覚えています。
また、保護者としての責任にいつも気を張っておりましたが、先生方のこと、そして子どもたちのことを信じて、ゆっくりと見守っていこうとあのとき決めました。
そうして月日は流れ、本日、私を見つめるたくさんの瞳には、嬉しかったことも楽しかったことも、悔しかったことも悲しかったことも、たくさん詰まった中学校生活のすべてを経験し、乗り越えてきた自信が映し出されています。
卒業生がこのように立派に成長できたのは、この3年間どんなときも子どもたちを信じ、決して諦めず、熱心に一人ひとりと向き合ってくださった、校長先生はじめ教職員の皆様の指導の賜物です。
保護者を代表いたしまして、心より感謝申し上げます。
3年間、本当にありがとうございました。
(約3分)
【高校卒業式】保護者代表謝辞の内容と例文。
高校卒業式謝辞の内容
高校生は、大人に守られながら学んできた中学生から、自分の判断で進んでいく、社会人や大学生へと成長する過渡期にあります。
中学校までと比べると、良い意味で子どもたちを放任し、自主性を育てるような教育方針である先生が多いので、そのあたりに触れると良いでしょう。
高校卒業式謝辞の例文
まだ姿の見えない小鳥のさえずりがあちらこちらで聞かれるようになり、春の訪れもあとわずかであると気づかされます。
本日は、このように厳粛な卒業式を挙行してくださいまして、誠にありがとうございます。
校長先生はじめ諸先生方に、心より御礼申し上げます。
卒業生の保護者を代表いたしまして、僭越ではございますが一言お礼を述べさせていただきます。
3年前、上級生につけてもらった胸の花飾りを、今日は自分の手でつけたと聞いております。
卒業生一人ひとりの胸に灯る小さな赤い花々の奥には、学業はもちろん、部活動や学校行事、友人関係に至るまで、たくさんの思い出が詰まっていることでしょう。
本日ここから見える卒業生の清々しい表情は、どんなときも諦めず、楽しく、時に悔しく、全力で向き合ってきた賜物であり、そんな卒業生を保護者一同大変誇らしく思っています。
高校生活の中で日に日にたくましくなる我が子を見て、子どもは勝手に成長するというのは本当のようだ、なんてことを考えていました。
しかしそれは、ある日我が子がふとこぼした一言で、間違いであったことに気づいたのです。
○○高校では学園祭の伝統で、衣装を手作りし、それを着てパフォーマンスをするイベントがあります。
学園祭が近づくにつれ、我が子も家で衣装作りの作業を始めるようになりました。
しかし、どう考えても高校生が作れるようなデザインではなく、私はつい大丈夫なのと尋ねてしまいました。
すると、「できないかもしれないけど、みんなで決めたことだからやってみたいの。」と言いました。
結局、初めのデザイン通りにはいかなかったようですが、再度話し合い、みんなが満足のいく仕上がりになったそうです。
当日学園祭で見た子どもたちは、こちらまでつられてしまいそうな笑顔で衣装を着用し、パフォーマンスを行っていました。
先生もおそらくはじめは、私のように思ったに違いありません。
しかし、決して口を挟まずに、子どもたちの可能性を信じてくれていたのです。
実業家である本田宗一郎氏はかつてこう話していたそうです。
「失敗よりも何もしないことを恐れろ。」
○○高校の先生方は、まさにこのことを実践されていました。
失敗しないよう正しいレールを引いてくれるような指導ではなく、子どもたちがレールを作っているところを後ろから優しく見守っているような指導にあたってくださいました。
これから卒業生が大学生となり社会人となるにつれ、段々と自分を守り導いてくれる人は少なくなっていきます。
しかし○○高校の卒業生はこの高校生活で、失敗を恐れずにチャレンジすること、例え失敗しても挽回の手段はいくらでもあるということを学びました。
「この子たちはこれから何があっても大丈夫。」
今は心からそう信じています。
卒業生がこのように立派にたくましく成長できたのは、校長先生はじめ教職員の皆様が、子どもたちの自主性を尊重し指導してくださったおかげです。
保護者を代表いたしまして、心より感謝申し上げます。
3年間、ありがとうございました。
(約3分20秒)
【大学卒業式】卒業生代表謝辞の内容と例文。
大学卒業式謝辞の内容
大学の卒業生代表の謝辞では、当事者本人が読み上げるわけですから、より素直な気持ちを表現できますね。
高校よりもはるかに高度になった専門分野での学習や、卒論などで学んだことを述べても良いでしょう。
部活やサークル活動に参加していた方はそのことについて述べても良いですが、あくまでも大学の先生方への感謝の気持ちを伝える謝辞であることを忘れてはいけません。
大学卒業式謝辞の例文
木の葉の姿が見えないことに慣れてしまった木々にも、ほんのりと桜色のつぼみが一つまた一つと増えてまいりました。
本日私たち卒業生のために、このように盛大な卒業式をあげていただき、誠にありがとうございます。
また、学長をはじめ諸先生方ならびにご来賓の皆様におかれましては、ご多忙の中ご臨席くださいまして、心から御礼申し上げます。
旅立ちの節目となるこの場をお借りし、卒業生を代表いたしましてお礼を述べさせていただきます。
私たちがこの講堂に初めて足を踏み入れたのは、4年前の春、正門前の桜が満開を迎えた頃でした。
右を見ても左を見ても同じ顔に見えてしまい、誰とも目を合わせずに講堂を出た日のことを、昨日のことのように覚えています。
しかし本日ここから見えるのは、馴れ親しんだ学友や先生方の温かい微笑みです。
大学で学んだことはこの場ですべてを語りつくせませんが、この4年間では、○○(自分の専門とする分野)について追及する楽しさを学びました。
大学に入学するまでの学習が、いかに広く浅くだったかということを思い知らされるほどに、大学での講義一つひとつは狭く深いものでした。
○○(自分の専門とする分野)を学びたかった私は、○○(自分の専門とする分野)に関わる講義が並ぶ自分の時間割を見て、こんなにも学べることがあるのだと、入学当初は時間割を見ては心が躍ったものです。
しかし、あるとき私は「学問は果てしなく、終わりがない」ということに気がつきました。
その分野について私が学ぶ何十年も前から学んでいた先生方が、今もなお研究をし続けているのですから。
私は○○(職業)を目指して○○(自分の専門とする分野)を学ぶことを決めました。
何かを学ぶことは、何かを手に入れるための手段だと考えていたのです。
しかし、何かを学ぶことは、ただ何かを学ぶということに過ぎず、それこそが学ぶ醍醐味なのだと、講義を通して気がつきました。
ご自分の研究されている分野についてご指導くださる先生方の表情は、とても生き生きとしたものだったのです。
そしてそれは、今後どのような道に進んだとしても変わらないことです。
未来を見据えながらも、一番大切にしなければならないのは今この瞬間で、今置かれている環境で全力を尽くし最大限に楽しむことが、気づけば未来を作っているのだと学ばせていただきました。
最後になりますが、本日卒業生一人ひとりがこの佳き日を迎えることができたのは、学長や先生方、職員の皆様、そして家族の支えのおかげです。
重ねて、心より感謝申し上げます。
つたない言葉ではありましたが、これをもちまして謝辞とかえさせていただきます。
(約3分)
素直な気持ちを届けよう
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誰にでも当てはまる内容となるよう気を付けながらも、お世話になったあの先生など、具体的に誰かの顔を思い浮かべても良いかもしれませんね。