【アデノウイルス結膜炎】大人の症状や感染経路は?潜伏期間や自然治癒は?
アデノウイルス結膜炎という病気をご存知でしょうか。
アデノウイルス結膜炎はその名のとおり、アデノウイルスというウイルスに感染して起こる目の病気です。
アデノウイルス結膜炎という病名は聞いたことがなくても「はやり目」なら聞いたことがあるかもしれませんね。
目の病気ですので、放置していたら視力の低下を起こしかねません。
となれば、どんな症状が出たらアデノウイルス結膜炎を疑うべきなのか、気になりますよね。
普通の結膜炎や流行性角結膜炎とはどう違うのでしょうか。
今回は、大人のアデノウイルス結膜炎について、症状や感染経路、自然治癒はするのか、などについてご紹介します。
この記事の目次
大人も注意!アデノウイルス結膜炎はどんな病気?
『アデノウイルス結膜炎』とは、流行性角結膜炎のうち、アデノウイルスの感染が原因によって発症した結膜炎のことを言います。
アデノウイルス角膜炎を併発していることも多いので、両方を合わせて「アデノウイルス結膜炎」と総称することも多い感染症です。
以前はプールでうつる夏特有の病気でしたが、近年は1年中発症が見られるようになりました。
感染性結膜炎、ウイルス性結膜炎、と呼ばれることもあります。
おもにアデノウイルス8、19、37型が原因によって発症します。
感染力が強い
アデノウイルスは感染力が非常に強く、電車の吊革やドアなどの物に付着しても10日間ほど感染力があるとされています。
そのため、ウイルスがついた手で目をこすったりすると簡単に人から人へうつってしまうのです。
下記の動画は流行性角結膜炎について約2分にまとめられたものです。
『はやり目(流行性角結膜炎)のしくみ』
アデノウイルス結膜炎の大人の症状は?
アデノウイルス結膜炎のおもな症状は下記のとおりです。
[結膜炎の症状]
涙が出る、目ヤニが出る、目がかゆい、ゴロゴロする、結膜が充血する、など。
[角膜炎の症状]
涙が出る、目ヤニが出る、ゴロゴロする、瞬きすると目が痛い、黒目が白くなる、白目が充血する、まぶたが腫れる、まぶしい、など。
結膜炎と角膜炎を併発している場合が多くみられますので、涙が出る、目ヤニが出る、ゴロゴロするといった症状の場合は疑いがあります。
目ヤニは酷いときになると目が開かなくなるくらいに出ます。
また、耳前のリンパ節が腫れて触ると痛みを伴う場合もあります。
両目の場合もあり
症状は片目だけに出る場合が多いですが、まれに両目を同時に発症する場合もあります。
発症して1週間後くらいに症状のピークを迎えます。
また、片目を発症した1~2週間程度後にもう片方の目にも発症するケースが多いことも特徴的です。
この場合は後から発症した目の方が症状が軽くて済みます。
熱や喉の痛みがある場合は?
アデノウイルスによって咽頭炎も併発している場合は、咽頭結膜熱(俗にプール熱と呼ばれる)といって、熱やのどの痛みといった症状も現れます。
特に大人の場合は子供ほど熱の症状は顕著に出なく、微熱程度で風邪の初期症状とよく似ています。
倦怠感があったり、微熱やのどの痛みがあり、目がウルウルするような時は咽頭結膜熱を疑ってください。
大人は通勤中に注意!アデノウイルス結膜炎の感染経路や潜伏期間は?
アデノウイルス結膜炎は、ウイルスが付着した手指やタオルなどで目や顔をこすることによる接触感染によって感染します。
潜伏期間は5日~2週間程度。
片目を罹患した後にもう片方の目も発症するケースが多いのはこのためです。
アデノウイルスは感染力が非常に強く、電車の吊革やドアなどの物に付着しても10日間ほど感染力があるとされています。
そのため、罹患者の涙や目ヤニを触った手指から物へ、物から他の人の手指を介して他の人の目へと感染してしまうのです。
アデノウイルス結膜炎の治療方法と治療期間。登校や出勤停止期間は?
治療方法や治療期間は?
アデノウイルス結膜炎には有効な薬剤がありませんので、基本は自己治癒(自然治癒)を待つことになります。
対処療法として、充血や炎症に対してはステロイド剤の点眼、ほかの菌による感染防止のために抗生物質を含んだ点眼薬の投与などがされます。
大人の場合、症状は3日~1週間程度で治まりますが、体内には保菌されている状態なので、完全な自己治癒には約2~3週間程度の期間を要します。
症状が治まっても他の人への感染力は弱まっていないので、感染拡大に注意を要する期間です。
登校や出勤停止期間は?
アデノウイルス結膜炎は、子供の場合は学校保健法で登園・登校が停止されますが、大人に関しては法的規制がないため、この限りではありません。
しかしながら、感染力がきわめて強力ですので、やはり出勤はなるべく控えた方が賢明です。
近年、職場での感染拡大防止のため、会社で独自に規定を設けているところも多くなりました。
すみやかに感染の報告をし、出勤の可否を問い合わせてください。
特に学校・施設・医療関係者など人と接触することの多い職場の場合は、出勤停止規定を設けているところが多いので、詳しくは会社などにお問い合わせくださいね。
出勤時は慎重に
止むを得ず出勤する場合は、手指を介して簡単に感染するため、自分の触れたものを他人に触らせないよう、十分に注意を要します。
また、眼帯などをして容易に患部をさらさない配慮も必要です。
アデノウイルス結膜炎の予防・対策方法。消毒の仕方は?
アデノウイルス結膜炎の予防方法は?
アデノウイルス結膜炎の予防方法は下記のとおりです。
・こまめな手洗いの励行。
・目にゴミが入ったときは手でこすらず、涙で自然に流れるのを待つか、点眼薬や水道水で洗い流しましょう。
・点眼薬をさすときは、薬の先に手やまつ毛が触れないようにし、他人との併用は絶対に避けましょう。
感染した場合の対策方法は?
万一アデノウイルス結膜炎に罹患してしまった場合は、下記の対策を講じます。
・手洗いの励行。石鹸で洗った後にアルコール消毒剤で消毒すると効果的です。
・患部を直接手で触らないよう注意してください。
触れる場合はティッシュや綿棒などの使い捨てできるものを利用します。
使用後はビニール袋などで密閉して捨て、他人が容易に触らないように留意しましょう。
・枕やタオル類などの他人との併用は避けましょう。
・お風呂は最後に入浴し、残り湯の再利用は止めましょう。
・罹患中のコンタクトレンズの装着は厳禁です。
・休養をとって体力を落とさないようにしましょう。
・治ったように見えても体内に保菌している場合が多いので、しばらくは外出を控え、薬は最後まで使いきりましょう。
有効な消毒方法は?
アデノウイルス結膜炎に有効な消毒方法はアルコール消毒、塩素消毒、熱消毒です。
市販のアルコール消毒剤、塩素系漂白剤などを上手に利用しましょう。
特に罹患者が触れた可能性のあるソファーやドアノブ、手すりなどは、水2Lに対し塩素系漂白剤10ml(キャップ2杯)を入れた環境消毒液で拭くと良いでしょう。
予防・対策を十分に行い、異常を感じたらすぐに受診しましょう。
【関連記事】
●目薬の正しい差し方。コツはあるの?正面や横から差す方法は?
アデノウイルス結膜炎の症状や感染経路、潜伏期間や自然治癒などについてお送りしました。
アデノウイルス結膜炎についてまとめると下記のようになります。
・アデノウイルス角結膜炎は感染力が強く、接触感染で簡単にうつりやすい。
・目に異常が見られた場合は、すぐ眼科に受診しましょう。
・自己治癒が基本、潜伏期間は5日~2週間程度。
・出勤停止規定は会社によって違う。
・手洗いの励行、手で目をこすらない、目薬を他人と供用しない。
・市販のアルコール消毒剤、塩素系漂白剤による消毒が有効。
アデノウイルス結膜炎は目の病気ですから、症状が悪化すると視力が一時的に低下したり、ものが二重に見えたりする場合があります。
症状が悪化すると、後遺症として角膜(黒目)に斑点状の白い濁りが残ってしまう場合もありますので注意が必要です。
おかしいな?と思ったら早めに眼科に受診してくださいね。