【流行性角結膜炎】症状や潜伏期間は?出席・出勤停止期間や対処法は?
流行性角結膜炎(りゅうこうせいかくけつまくえん)はあまり聞き慣れない病名ですよね。
ですが「はやり目」なら聞いたことがあるかもしれません。
流行性角結膜炎とは、流行性結膜炎と流行性角膜炎を合わせた目の病気の総称です。
2つを同時に併発する場合が多いので、流行性角結膜炎と呼ばれることが多くなりました。
目の病気ですので、放置していたら視力の低下を起こしかねません。
となれば、どんな症状が出たら流行性角結膜炎を疑うべきなのか?気になりますよね。
今回は、流行性角結膜炎の症状や潜伏期間、出席・出勤停止期間や予防対策方法などについてご紹介します。
この記事の目次
流行性角結膜炎とは?どんな病気?
流行性角結膜炎(りゅうこうせいかくけつまくえん)は、流行性結膜炎と流行性角膜炎を合わせた目の病気の総称です。
2つを同時に併発する場合が多いので、流行性角結膜炎と呼ばれることが多くなりました。
そのほとんどがアデノウイルスが原因によって起こる感染症です。
以前はプールでうつる夏の病気でしたが、近年は1年中発症が見られるようになりました。
感染性角結膜炎、ウイルス性角結膜炎と呼ばれることもあります。
まず、流行性結膜炎と流行性角膜炎がどのようなものかみていきましょう。
流行性結膜炎とは?
『流行性結膜炎』は、細菌やウイルスが目に感染して結膜が炎症する病気です。
原因によって下記の2つに大別されますが、そのほとんどがアデノウイルスが原因によるウイルス性結膜炎です。
〔細菌性結膜炎〕
インフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは違います)や肺炎球菌、黄色ブドウ球菌などの細菌が原因によって起きる結膜炎。
感染力は比較的弱いのですが、目にケガをしていたり、身体の抵抗力が落ちていたときなどに感染しやすい傾向があります。
〔ウイルス性結膜炎〕
おもにアデノウイルス8、19、37型が原因によって起きる結膜炎。
アデノウイルスは感染力が非常に強いので、ウイルスがついた手で目をこすったりすると簡単に人から人へうつってしまいます。
流行性角膜炎とは?
『流行性角膜炎』は、細菌やウイルスが目に感染して角膜が炎症する病気です。
角膜とは「黒目」のことです。
通常は涙によって病原体や外部からの刺激から守られていますが、炎症が重症化したりすると失明にもつながりかねない危険性があります。
原因によって以下の4つに大別されますが、そのほとんどがアデノウイルスが原因による角膜炎です。
〔細菌性角膜炎〕
細菌が原因によって起きる角膜炎。
ゴミが目に入ってこすったりして、角膜に傷がついた際に細菌が入って炎症します。
〔真菌性角膜炎〕
真菌(カビ)が原因によって起きる角膜炎。
ソフトコンタクトレンズの連続装用者に多くみられます。
〔アカントアメーバー角膜炎〕
アメーバーが原因によって起きる角膜炎。
コンタクトレンズ利用者に多くみられます。
〔ウイルス性角膜炎〕
①ヘルペスウイルス角膜炎
ほとんどの人がヘルペスウイルスを体内に保菌していますが、ストレスや免疫力の低下によって、このウイルスが角膜に移動して再発して起きる角膜炎。
②アデノウイルス角膜炎
アデノウイルスのうち、おもに8、19、37型のウイルスが原因によって起こる角膜炎。
細菌性角膜炎・真菌性角膜炎・アカントアメーバー角膜炎・ウイルス性角膜炎の①ヘルペスウイルス角膜炎は、感染力が比較的弱く、ほかの人へうつる可能性は低いです。
しかしウイルス性角膜炎の②アデノウイルス角膜炎については、感染力がきわめて強いのでほかの人への二次感染に十分注意を要します。
流行性角結膜炎の症状や発症期間は?
流行性角結膜炎(流行性結膜炎・流行性角膜炎)のおもな症状は下記のとおりです。
[流行性結膜炎の症状]
涙が出る、目ヤニが出る、目がかゆい、ゴロゴロする、結膜が充血する、など。
[流行性角膜炎の症状]
涙が出る、目ヤニが出る、ゴロゴロする、瞬きすると目が痛い、黒目が白くなる、白目が充血する、まぶたが腫れる、まぶしい、など。
流行性結膜炎と流行性角膜炎を併発している場合が多くみられますので、涙が出る、目ヤニが出る、ゴロゴロするといった症状の場合は疑いがあります。
目ヤニは酷いときになると、目が開かなくなるくらいに出ます。
また、耳前のリンパ節が腫れて、触ると痛みを伴う場合もあります。
症状は片目だけに出る場合が多いですが、両目を同時に発症する場合もあります。
発症期間
アデノウイルスを罹患した場合は、発症して1週間後くらいに症状のピークを迎えます。
また、片目を発症した1~2週間程度後に、もう片方の目にも発症するケースが多いことも特徴的です。
流行性角結膜炎の感染経路と潜伏期間は?
それぞれのおもな感染経路はこちら。
細菌性の場合はおもに目を強くこすったりした際に傷が付き、そこから細菌が入り込むことによって感染します。
真菌性・アメーバーの場合は、コンタクトレンズに付着した菌を取り込むことにより感染します。
ヘルペスの場合は、免疫力の低下などによる再発性の発症です。
アデノウイルスによる場合は、ウイルスが付着した手やタオルなどで目や顔をこすることによる接触感染によって感染します。
この場合は、5日~2週間程度の潜伏期間があります。
片目を罹患した後に、もう片方の目も発症するケースが多いのはこのためです。
流行性角結膜炎の治療方法と治療期間は?
原因がアデノウイルス以外にある場合は、抗生物質を含んだ点眼薬によって治療します。
治療に要する期間は原因によって多少の違いがありますが、1~2週間程度です。
原因がアデノウイルスによる場合は、有効な薬剤がありません。
対処療法として充血や炎症に対してはステロイド剤の点眼、ほかの菌による感染防止のために抗生物質を含んだ点眼薬の投与などがされます。
自己治癒には2~3週間程度の期間を要します。
流行性角結膜炎の出席・出勤停止期間は?
原因がアデノウイルス以外の場合は感染力が弱く、ほかの人へうつる心配がほとんどありません。
そのため、幼稚園(保育園)、学校への出席停止は必要ありません。
これは成人に関しても同様です。
アデノウイルスが原因の場合
一方、アデノウイルスによる場合、幼稚園(保育園)、学校へは学校保健法によって出席停止とされています。
医師による治癒証明書がないと出席できません。
出席停止期間はおおむね2週間程度をみてください。
成人に関しては、出勤停止の規定はありません。
しかしながら、感染力がきわめて強力ですので、やはり出勤はなるべく控えた方が賢明です。
止むを得ず出勤する場合は、手指を介して簡単に感染するため、自分の触れたものを他人に触らせないよう、十分に注意を要します。
また、学校・施設・医療関係者など人と接触することの多い職場の場合は、職場によって出勤停止規定を設けているところもありますので詳しくは会社などにお問い合わせください。
流行性角結膜炎の予防と対策、消毒方法は?
流行性角結膜炎の予防方法
流行性角結膜炎の予防方法は下記のとおりです。
・こまめな手洗いの励行
・コンタクトレンズは正しいケアと装着をし、定期検診を必ず受けましょう。
・目にゴミが入ったときは手でこすらず、涙で自然に流れるのを待つか、点眼薬や水道水で洗い流しましょう。
・点眼薬をさすときは薬の先に手やまつ毛が触れないようにし、他人との併用は絶対に避けましょう。
流行性角結膜炎の対策方法
万一、流行性角結膜炎に罹患してしまった場合は下記の対策を講じます。
・手洗いの励行。石鹸で洗った後にアルコール消毒剤で消毒すると効果的です。
・患部を直接手で触らないよう注意してください。触れる場合はティッシュや綿棒などの使い捨てできるものを利用します。使用後はビニール袋などで密閉して捨て、他人が容易に触らないように留意しましょう。
・枕やタオル類などの他人との併用は避けましょう。
・お風呂は最後に入浴し、残り湯の再利用は止めましょう。
・休養をとって体力を落とさないようにしましょう。
・治ったように見えても体内に保菌している場合が多いので、しばらくは外出を控え、薬は最後まで使いきりましょう。
流行性角結膜炎に有効な消毒方法
流行性角結膜炎に有効な消毒方法は、アルコール消毒、塩素消毒、熱消毒です。
市販のアルコール消毒剤、塩素系漂白剤などを上手に利用しましょう。
特にアデノウイルスによる罹患者が触れた可能性のあるソファーやドアノブ、手すりなどは、水2Lに対し塩素系漂白剤10ml(キャップ2杯)を入れた環境消毒液で拭くと良いでしょう。
予防と対策、早めの受診で安心
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流行性角結膜炎の症状や発症・潜伏期間、予防対策方法などについてお送りしました。
これまでのことをまとめるとこちらのようになります。
・流行性角結膜炎の複数ある原因のうち、アデノウイルスは感染力が強く、接触感染で簡単にうつりやすい。
・流行性角結膜炎のほとんどがアデノウイルスによるものである。
・目に異常が見られた場合は、原因特定のためすぐ眼科に受診しましょう。
・アデノウイルスは自己治癒が基本、それ以外は抗生物質点眼薬が有効。
・アデノウイルスの場合は幼稚園(保育園)・学校は出席停止。
・手洗いの励行、手で目をこすらない、目薬を他人と供用しない。
・市販のアルコール消毒剤、塩素系漂白剤による消毒が有効。
流行性角結膜炎は目の病気ですから、症状が悪化すると視力が一時的に低下したり、ものが二重に見えたりする場合があります。
特に流行性角膜炎の症状が悪化すると、後遺症として角膜(黒目)に斑点状の白い濁りが残ってしまう場合がありますので注意が必要です。
おかしいな?と思ったら早めに眼科に受診してくださいね。