【走り梅雨の意味と時期】天気の状態は?同義語や反対語、俳句は?
『走り梅雨』という言葉を耳にしたことはありませんか?
意味を知ると、なんとも季節感のある日本らしい繊細な言葉なのですが、意味をよく知っている方は少ないようです。
梅雨という言葉から、梅雨の間に使われる言葉と思っている人がいるようですが、実はそうではないんですよ。
今回は、そんな「走り梅雨」の意味と、使う時期などについてご紹介します。
・走り梅雨とは?意味は?
・走り梅雨の時期はいつ頃?どんな天気の状態?
・走り梅雨と同じ意味の言葉は?反対語はある?
・走り梅雨の季語を使った俳句は?
走り梅雨とは?意味は?
走り梅雨というのは、5月中旬から6月上旬にかけて降る雨のことです。
走り梅雨の後には、晴天が続いてその後に本格的な梅雨に入ります。
でも、年によっては走り梅雨が長引いてそのまま梅雨入りすることもあるので、厳密に『何日続いたらとか何月何日まで』とかいう決まりがあるわけではありません。
走り梅雨の時期はいつ頃?どんな天気の状態?
先ほど説明したように、走り梅雨という言葉は、5月中旬から6月上旬にかけて使います。
ずいぶん期間が長いですよね。
なぜかというと、走り梅雨というのは、感覚的なものだからです。
梅雨入りの時期は天候が定まらない日が続きます。
梅雨入り、梅雨明けも年によっては曖昧で、なかなか断定しにくい場合もあります。
天気予報で、「○日に梅雨入りしていたようです」というような言い方がされることもありますよね。
そういうわけで、気象予報の世界では、「この雨が走り梅雨だ!」とハッキリ言いきることは難しいのです。
ただ、俳句の世界では、「走り梅雨」は6月初旬を表す夏の季語と決められています。
梅雨が始まると使えないので、6月に入ってから梅雨入りまでの、とても短い期間にだけ使える季語なんですね。
走り梅雨と同じ意味の言葉は?反対語はある?
走り梅雨と同じ意味の言葉
本格的な梅雨の前に訪れる雨模様という意味でつけられた名前は、「梅雨の走り」や「迎え梅雨」があります。
そのほかには、走り梅雨の時期が卯の花が咲く時期だということから、卯の花を腐らせるような雨という意味で「卯の花腐し(くたし)」とも呼ばれています。
走り梅雨の反対語
本格的な梅雨が始まる前の雨が「走り梅雨」。
反対に、梅雨明けした後に、雨が続く時に使われる言葉は「帰り梅雨」です。
梅雨明け間際の激しい雨は「送り梅雨」ですから、混同しないようにしましょう。
梅雨時以外の時期に使う「梅雨」がつく言葉
梅雨という言葉がついているので、梅雨の時期の言葉と間違えられやすい言葉をついでに紹介しておきましょう。
走り梅雨と合わせて覚えておくといいですね。
菜種梅雨
3月下旬から4月上旬にかけて、数日雨が続くこと。
花を催す雨という意味で「催花雨(さいかう)」とも呼ばれます。
すすき梅雨
8月後半頃から10月頃にかけて降り続く長雨のこと。
秋雨の別名です。
さざんか梅雨
11月下旬から12月上旬にかけて雨が続くこと。
走り梅雨の季語を使った俳句は?
走り梅雨古表札のまづ濡れて 小林清之助
走り梅雨気候の変化身に添はず 松尾緑富
走り梅雨ゆつくり歩いてみたくなる 伊藤多恵子
喪主となる甥まだ若し走り梅雨 山口たけし
走り梅雨は、入梅前の雨のこと。
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走り梅雨の時期や意味などについてお送りしました。
梅雨入り前のほんの短い時期にだけ使われる、季節感あふれる言葉だということが分かりましたね。
俳句の季語として使えるのは6月初旬だけですが、言葉としては5月下旬に使っても大丈夫なので、意外と便利な言葉です。
「迎え梅雨」「卯の花腐し(くたし)」などの別名と一緒に覚えておいてくださいね。