お食い初めの時期と意味。食器や料理は?やり方や石は?
赤ちゃんが一生食べ物に困らないようにとの願いを込めて行われる『お食い初め(おくいぞめ)』。
地域によっては百日祝い(ももかいわい)、歯固め、食べ初め(たべぞめ)、箸揃え(はしぞろえ)、箸初め(はしはじめ)などと呼ばれることもあります。
近年ではご家庭の事情に合わせて、かなり自由度の高い儀式となってきましたが、それでも基本はきっちり押さえておきたいですよね。
そこで今回は、お食い初めの時期や、お食い初めの意味、食器や料理の献立、お固め(歯固め)の石など、お食い初めにまつわることをご紹介します。お食い初めの儀式の参考にしてくださいね。
・お食い初めとは?いつやるの?
・お食い初めの食器やお箸はどんなものを使えばいいの?
・お食い初めの料理メニューは?どんな意味があるの?
・お固めの石って?他のものでもいいの?終わった後は?
・お食い初めの儀式の順番は?誰が行うの?
・お祝い金の相場やのし袋の書き方は?お祝い品を贈るなら?
お食い初めとは?いつやるの?
お食い初めとは?
お食い初め(おくいぞめ)は、生後約100日前後の時期に行うお祝いの儀式です。
個人差はありますが、この頃になると乳歯が生え始めることから「食べ物に一生困らないように」という願いと、「生後100日まで無事に生きてくれてありがとう」のお祝いの意味を込めて行われると言われます。
生後100日前後に行うことから「百日祝い(ももかいわい)」と呼んだり、初めて食べる(真似をする)ことから「食べ初め(たべぞめ)」、初めてお箸を使うことから「箸揃え(はしぞろえ)」とか「箸初め(はしはじめ)」と呼ばれることもあります。
乳歯を固める、歯固め(はがため)の儀式をとることから「歯固め」と呼ばれることもありますね。
日本以外にも中国や韓国でも同様の儀式を行うんだそうですよ。日本では平安時代より既にお食い初めの儀式が行われていたようです。
お食い初めの時期は?いつやるの?
一般的にお食い初めの儀式は、赤ちゃんが生まれた日を1日目と数えて、生後100日目に行います。
地域によっては110日目に行ったり、120日目に行ったりする場合もあります。
近年ではかなり自由度が増しましたので、きっちり100日目に行わず、ご家族の都合の良い休日に行ったり、大安などの吉日を選んでする場合も多いようですね。
祖父母様も一緒にお祝いするケースも多く、あまり時期には厳密にこだわらなくても良いでしょう。
もう少し先に伸ばして、離乳食に切り替える日に行われることも多くなってきましたので、ご都合の良い日にお祝いしてあげて下さいね。
お食い初めの食器やお箸はどんなものを使えばいいの?
お食い初めの食器は買う必要性がある?
正式なお食い初めの食器は、高足の御膳で漆器の食器を使います。お食い初め用として小振りなしつらえで、家紋が入っているものもありますね。
母方の実家から贈られる、という習わしが一般的ですが、神社から贈られる場合もあります。
ただし漆器の祝い膳は高価なので、近年ではレンタルが主流になりました。
また扱いの難しい漆器を使わず、離乳食にも使用できる実用的なベビー食器を用いるケースも多いようです。
もっとお手軽にお食い初めをしたい方には、食器類と料理、お食い初めのやり方の説明書など、必要なものが全部セットになったものも販売されています。
お食い初めの食器は男の子と女の子で違う
正式なお食い初めの食器は、男の子用と女の子用で違いがあります。
男の子用の食器は内側も外側も全て朱塗りの食器。女の子用は内側は朱塗りですが、外側が黒塗りの食器です。
これは平安時代の官位の色に由来するんだそうですよ。当時は黒色より朱色の方が官位が上だったので、男の子が朱色を用いる風習が残ったという訳です。
イメージからすると反対のように思えますが、ここは押さえておきたいポイントですね。
もちろん離乳食用のベビー食器で代用する場合はこの限りではありません。
お食い初めの食器で用意するもの
正式な食器はお膳、平椀、飯碗、汁椀、つぼ椀、高つき、お箸を用意します。
もちろんこれは正式な祝い膳の様式で、ベビー食器で代用する場合は足りないものをお手持ちの小振りな食器で足してもOKですし、足さずに省略してしまっても差し支えありません。
料理のメニューによってかなり自由度があるので、臨機応変に対応して下さいね。
お箸はどんなものを使うの?
正式なお箸は、はらみ箸というお箸を用います。よくお正月などに用いる、両端が細くて真ん中がふくらんでいる「祝い箸」がそれです。
これは子宝に恵まれますように、という願いが込められているんですよ。
ただしこのお箸も必ず必要なわけではなく、普通のお箸やスプーン、フォークなどを利用してもOK。スタイルによって自由に組み合わせて下さいね。
お食い初めの料理メニューは?どんな意味があるの?
お食い初めのメニューは、基本的に一汁三菜と言われています。これに縁起物の料理を足したりする場合が多いようです。
これを食べなければいけない、という決まりはありませんが、お食い初めの料理として用いられることが多い、縁起の良いメニューをご紹介しましょう。
メニュー等 | 意 味 | |
お赤飯 | 古来より赤には魔除けの力があるとされていることから、お祝い事には欠かせないメニューですね。 | |
蛤の吸い物 | 蛤(はまぐり)は同じ貝殻でないとピタリと合わないことから、良縁に恵まれますようにとの願いが込められています。
松茸や竹の子でもかまいません。 |
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鯛 | めでたいに通じる縁起物ですね。尾頭付きの鯛の塩焼きは、お食い初めの料理にも非常に多く用いられます。
尾頭が付いていればほかの魚でもかまいません。 |
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海老 | 腰が曲がるまで長生きできるように。海老は脱皮を繰り返していくことから出世を願う意味も込められています。 | |
黒豆 | マメに働ける丈夫な身体に育つように。黒は邪気を払う色でもあるので、健康長寿を願う意味も込められています。 | |
いくら | 子宝にめぐまれますように。鮮やかな赤のいくらは、お祝いを意味するめでたい食べ物と言われています。 | |
昆布巻き | 昆布=喜ぶに通じる縁起物。また巻物は書物を表し、学問に明るくなる子に育つようにとの願いも込められています。 | |
レンコン | 将来の見通しがきく利発な子に育つように。レンコンは種がたくさん実ることから子孫繁栄の意味もあります。 | |
梅干し | 梅干しのようにシワができるまで長生きできますように。また梅干しは殺菌力があるため、魔除けの意味も合わせ持ちます。 | |
蛸 | 蛸(タコ)は多幸とも書けることから縁起が良いと言われます。噛みごたえがあることから歯固めの意味もあります。 | |
錦玉子 | 黄金色の卵焼きは、お金に困らないようにとの願いが込められています。また黄色は子孫繁栄を意味する色とも言われます。 | |
鶴亀 | 鶴も亀も長寿の象徴です。細工のしやすい人参や大根、カボチャなどを用いて表現することが多いようです。 | |
栗きんとん | きんとん=金団とも書けることから金運に恵まれますように。木の実のように子孫繁栄しますようにという意味もあります。 | |
牛肉ごぼう | ごぼうのように深く根を張った誠実な人になりますように、牛のように働き者になりますようにとの意味が込められています。 | |
なます | 紅白でめでたい食べ物。また人参や大根などの根菜類は地面深くに根を張ることから、一家安泰の意味もあります。 | |
紅白餅 | 地域によってはお赤飯の代わりや、歯固め石の代わりに紅白餅を用いることもあるようです。 | |
鞠麩 | お姫様の嫁入り道具の1つとされたことから、良縁に恵まれますようにと、特に女の子の場合によく用いられます。 |
お固めの石って?他のものでもいいの?終わった後は?
お固めの石って?他のものでもいいの?
お固めの石は、歯固めの石とも呼ばれます。個人差がありますが、この頃になると乳歯が生え始める時期であるため、石をも噛み砕くような強い歯になりますように、との願いが込められています。
また、丈夫で良い歯並びの子どもは見目麗しく育つと言われることから、美男美女になりますように、との意味も込められているようです。
歯が強い子は長生きすることから、長寿を願うものという説もあります。
通常は石を用いますが、地域によっては紅白のお餅を用いたり、カタクリを固めて石に見立てたものや、勝ち栗、囲碁の碁石を用いるところもあるようですね。
また、特に関西を中心にして、茹でた(煮た)蛸を用いる場合もあります。これは茹でた蛸は固いので歯固めにふさわしく、多幸にも通じることから縁起が良いことが所以です。
お固めの石は実際には食べるわけではないので、ちょんちょんとお箸で石を突いて、その箸を子どもの歯茎に軽く当てて使います。これを歯固めの儀式と呼びます。
石はどんな石を使うの?終わった後は?
歯固めに使うお固めの石は、通常は氏神様のいる神社、もしくは近くの神社から拾ってきます。
あまり人が歩かないような場所から、消毒がし易いようにツルンとした綺麗な石を拾ってくると良いでしょう。
神社によってはお初参りの時に配ってくれたりしますし、お食い初めの食器セットやお料理セットに付いてくる場合もあります。
また消毒済みの見た目も美しい石を、歯固めの石として専用に販売もされているので、入手方法はご自由に選んで下さいね。
神社から拾ってきた石を使う場合は、終わった後は綺麗にして神社にお返しする、というのが一般的。
ただし、お固めの石を水瓶に入れておいて、子どもが熱を出した時に額に石を当てて解熱の願掛けとする、という地域もあるようなので、これも必ず返さなければいけない、という訳でもないようです。
お食い初めの儀式の順番は?誰が行うの?
https://youtu.be/1APzU6WTZyI
お食い初めの儀式は誰が行うの?
お食い初めの儀式を行う際は、男児は男性の左膝に、女児は女性の右膝に座らせて行います。
お子様がむずがる場合は、お母様の膝に座らせておいても差し支えありません。
実際に食べさせる(真似をする)のは、長寿にあやかって、お食い初めの儀式に列席している人の中で1番年長の方にお願いします。
お食い初めのやり方。食べさせる順番は?
お食い初めをする際は、箸で食べ物をつまみ、子どもの唇にちょんちょんちょん、と3回付けて食べさせる真似をします。
お固めの石の場合は箸で石をつついて、その箸の先を歯茎にちょんちょんちょん、と3回付けます。
食べさせる順番は、
飯 → 汁物 → 飯 → 魚 → 飯 の順番です。
基本はこれだけですが、せっかく用意した縁起物のお料理ですから、これ以降には用意したお料理を1品ずつ、それぞれの願いを込めて食べさせ(る真似をし)ても良いですね。
残ったお料理は、列席の皆さんで美味しくいただきましょう。
お祝い金の相場やのし袋の書き方は?お祝い品を贈るなら?
お食い初めに参加する人(招く・招かれる人)
簡単に済ませるなら、ご両親のみでお食い初めをするのもアリですが、お祝い事ですから、なるべく多くの人に祝福してもらいたいですよね。
そこでお食い初めの儀式にはごく親しい人を招くのが一般的。特に長寿にあやかって、双方の祖父母や兄弟姉妹を招くことが多いです。
地域によっては「養い親」という名称で、ご近所の年長者の出席をお願いする場合もあります。
お祝い金の相場やのし袋の書き方は?
お食い初めに招かれた場合は、お祝い金やお祝いの品を持参します。お祝い金の相場は5,000円~10,000円程度が相場のようです。
もちろん「気持ち」ですので、それ以上でも以下でも構いません。ただし、祝い膳として食事が用意されていることがほとんどですから、お食事代くらいは包むと良いと思いますよ。
のし袋は紅白の蝶結び(普通の祝儀袋のこと)。表書きは「祝御食初」又は「祝御初膳」です。
お祝い品を贈るなら?
お食い初めのお祝いの品を贈るなら、次のような物がふさわしいと思います。
祝い膳(食器):通常、これは母方の祖父母が贈るしきたりです。
ベビー食器:祝い膳の代わりに、離乳食にも使えるよう、実用的なベビー食器を贈る場合もあります。
離乳食の本:離乳食のレシピ本は、外すことのない贈り物ですね。
ケーキや果物:特に簡単なメッセージの入れられるホールケーキは人気があります。
銀の匙(さじ):西洋、特にイギリスを中心に、洗礼式(命名式)で銀のスプーンを贈ってお食い初めに似た儀式をする習慣があることから、日本でも贈り物に選ばれることが多いようですよ。
その他:ベビー玩具、スタイ(よだれかけ)、衣類など
お食い初めのできるレストランや料亭
●お七夜のお祝いのやり方。命名書の書き方や料理は?数え方は?
●お宮参りはいつ頃まで?大安や仏滅などの時期や祝い方マナー。
●お宮参りの服装。赤ちゃん、ママ・パパ、祖父母のファッションは?
最近ではレストランや料亭などでも、お食い初め用のお料理を提供してくれるお店が増えました。
こうした場所では食器はもちろん、歯固めの石も準備してくれますし、実際にお店の方がお食い初めの手順を説明しながら手助けをしてくれます。
面倒な準備が一切要らず、貸切りの個室でできる場所も多いので、思い切って外食してしまう方も多いようですよ。
いずれにしても、とてもおめでたいお食い初めの儀式ですから、列席の皆さんが笑顔でお祝いできるよう、ケース・バイ・ケースで無理せず楽しんで下さい。
そして記念すべき初めての食事のシーン、ビデオや写真などの記録をしっかり残してあげて下さいね。
それでは、良き晴れの日となるよう、心よりお祈り申し上げます。