【寝汗の原因と対処方法】頭や下半身だけ汗をかく理由は?冬の寝汗は病気?
寝汗を大量にかいて夜中に目が覚める。
朝起きたら枕や布団、パジャマがびっしょり‥、という経験はありませんか。
睡眠時に汗をかくこと自体は普通のことで、大人の場合だと一晩の間でコップ1杯から1.5杯程度の汗をかくといわれています。
これは深い眠りに入るときに体温を下げるためにかく汗で、身体の正常な機能。
ですが、寝汗の量が多すぎたり汗の質によっては、何らかの病気の可能性も考えられます。
寝汗がひどい原因と考えられるものは、ひとつではありません。
今回は、寝汗の原因や、頭や下半身など部分的に大量にかいたり、寒い冬に寝汗をよくかく原因や対処法などをご紹介します。
今まさに寝汗に悩んでいる方、もしくは家族がそうである方はぜひ参考にしてみてくださいね。
この記事の目次
寝汗の役割とは?
寝汗とは寝ている間にかく汗のことですね。
寝ている間の汗も、基本的に暑い時や運動した時にかく汗と同じで、体温を下げる役割を果たしています。
特に、寝入りばなにかく汗は、眠るための準備として体の体温を下げる働きをしています。
体温を下げた方が、脳を始めとした体の活動が休まりやすくなってスムーズに眠れるのです。
ただ、朝方にかく寝汗は夢のせいかもしれません。
朝方は、眠りが浅く夢を見やすい時間帯です。
恐い夢など刺激の強い夢を見ると、交感神経が刺激されて汗腺が開き寝汗をかきます。
入眠時と起床前以外の寝汗は、起きている時と同じです。
気温が高かったり、水分を摂りすぎたり、肥満の方などは汗が出やすくなります。
寝汗がひどい原因は?男性と女性で違う?
寝汗がひどい原因は?
寝汗がひどい原因はおもにこのようなものがあります。
・ 寝る直前にお風呂に入るなど身体を温めすぎたり、風邪や体調不良により、体温が高くなっている場合。
・ 過度なストレスから自律神経が乱れ、睡眠中の体温の調節がうまくいかなくなり寝汗がひどくなることがあります。
・ 寝る前に飲酒をすることによって、アルコールを分解するアセトアルデヒドが、体温調節中枢に働き、大量発汗することも。
男性と女性では原因は違う?
原因の多くは、男性女性にかかわらず共通して考えられるものですが、その中には、女性特有のものがあります。
それは、女性ホルモンバランスの乱れによる寝汗です。
特に下記のような、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が多くなる時期に、寝汗の量が多くなります。
・ 生理前や生理中
・ 妊娠中(特に妊娠後期には、通常の数倍~10倍を超える場合も)
・ 更年期
冷え症の方ほど冬に寝汗をよくかく場合もあります。
また、筋肉質の男性は基礎体温も高く、ビッショリ汗をかきやすい傾向にあります。
生活改善と食生活の見直し
とりあえず理由や原因のわからないものは、自律神経失調症とされることが多いです。
重大な疾患も見つからず自律神経失調症と診断されたら、ストレスを減らし生活改善のために食生活を見直しましょう。
必要栄養素が十分に摂取され、バランスの良い食生活で自然治癒力が高まり、心身の不調も治ってしまうこともよくあります。
大量に寝汗をかくのは病気?
大量の寝汗が続く場合、下記の病気の可能性が考えられます。
症状や状態によっては、専門の医師に診察を受けることをおすすめします。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
交感神経を活性化させる甲状腺ホルモンが過剰に出てしまい、交感神経が活発な状態が続く病気です。
常に身体が戦闘状態にあるので、体温があがり大量の汗をかきます。
新陳代謝が異常に高まり、動悸や血圧の上昇、手の震えや眼球突出、食べているのに痩せるなどの症状も。
自律神経失調症
ストレスにより、睡眠の際、交感神経と副交感神経のスイッチがうまく切り替わらず興奮状態が続いて大量の寝汗の原因に。
うつの症状が出ている可能性もあるそうです。
更年期障害
加齢に伴う女性ホルモン(エストロゲン)の減少により、ホルモンバランスが崩れ体温調節がきかなくなるため、ホットフラッシュにより大量の寝汗をかいてしまいます。
悪性リンパ腫
細菌やウイルスなどの病原体を排除する役割を持つリンパ節がガンになり、全身に広がる病気です。
このリンパ腫の初期の症状に大量の寝汗や発熱、体重の減少、かゆみ、疲労などがあります。
そのほかの病気
このほか、大量の寝汗の症状が出る病気として、多汗症や、肝機能障害、結核や糖尿病なども考えられます。
医師に相談する場合、多汗症は皮膚科、更年期などホルモンバランスの乱れによる寝汗は婦人科で診てもらうことができます。
頭だけ寝汗をかく原因は?
同じ寝汗でも背中など体にかく方と頭にかく方がいますが、これは体質としかいいようがありません。
医学的には頭部多汗症という名前がついていますが、すぐさま健康を害するということはありませんから安心してください。
急に寝汗をかくようになったら
暑くなったわけでもないのに、急に頭の寝汗が気になるようになったら、体調の変化がないかチェックしましょう。
たとえば、風邪や疲れなどで発熱している場合は汗の量が増えます。
薬(抗うつ薬、解熱鎮痛薬、コリン作動薬、糖尿病治療薬、ホルモン薬など)を服用している場合は、副作用かもしれません。
また、女性の場合は生理前中や妊娠期、更年期に発汗量が増えるのはホルモンの変化によるものですから自然なことです。
思い当たることがないのに、急に寝汗をかくようになった場合は、悪性腫瘍、結核などの感染症、内分泌疾患(甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫、カルチノイド症候群など)、神経疾患、うつ病などのサインかもしれませんから、寝汗以外の症状がないか確認して医師に相談しましょう。
首周りも寝汗をかく原因は?
風邪など発熱が原因の場合で短期間なら、問題ありません。
でも、長期間続く場合は注意してくださいね。
バセドウ病など甲状腺が過剰に働いている病気になると、首に寝汗をかくことが多いのです。
赤ちゃんが頭だけ寝汗をかく原因は?
もともと赤ちゃんは汗っかきです。
少し動いたり暑かったりすると汗をかきます。
寝ている時にも汗をたくさんかきますが、健康な証拠ですから脱水症状にだけ気を付けてあげれば心配はいらないでしょう。
大人と同じで頭にだけ汗をかいていても、それは体質です。
気になる場合は、室温や着るものを少し調節してあげてくださいね。
下半身だけ寝汗をかく原因は?病気の可能性は?
下半身だけ寝ている間に汗をかいてしまう現象は、いくつかの病気の症状として報告されています。
しかしながら、だからといって下半身の寝汗が必ずしも病気とつながるわけではありません。
寝汗の原因は大別すると「睡眠環境」、「ストレス」、「病気または体質」があります。
ひとつひとつ見ていきましょう。
睡眠環境は?
たとえば寝ているとき、湿度が高すぎたり布団を必要以上にかけて寝ていたりすると、寝苦しさを感じて寝汗がひどくなることがあります。
もし、思い当たる節がある場合は睡眠環境による温度調節に問題がないか確認してみましょう。
ストレスは?
ストレスや疲れ、睡眠不足や緊張が原因となり、寝汗になってしまうことは少なくありません。
怖い夢を見て急に起きると汗がびっしょり。
なんて経験はありませんか?
実はあれもストレスのせいだったりします。
また、ストレスは体のホルモンのバランスを崩すことにも繋がります。
ホルモンというと女性を想像しますが、男性も甲状腺ホルモンなどが原因で下半身寝汗になることもあるんですよ。
病気は?
汗の病気で多汗症というのを聞いたことがあるかもしれませんが、下半身だけ寝汗をかくことは「局所性多汗症」と呼ばれます。
局所性多汗症の場合、原発性(特発性)と続発性に分かれて分類することができるため、それぞれの症状について詳しく見ていきましょう。
[原発性(特発性)]
原発性は、寝汗の症状以外に特にほかの原因がないことを言います。
研究では、家族で同じ症状の方も多く、遺伝子的な要因が強い(つまり体質)という結果も。
もし、家族や親戚にも同じ下半身寝汗の方がいたら、原発性の可能性が高いでしょう。
[続発性]
続発性とはほかの病気をきっかけにして起こること。
下記のような症状にある方は、合併して症局所性多汗症の症状が表れている可能性を疑いましょう。
・ 脊髄損傷などの神経系疾患
・ 結核などの感染症
・ 甲状腺機能亢進(こうしん)症(バセドウ病)
・ 悪性腫瘍
・ 糖尿病や脳卒中などの循環器疾患
・ Frey(フライ)症候群
・ 内分泌・代謝疾患
・ 抹消神経障害 など
このような病気の方は、合併症を疑って医者に相談されると良いかもしれません。
また、ここにはない病気でも、薬による副作用が原因で下半身寝汗になることもあるそうです。
下半身に寝汗をかく原因は男性女性で違う?
女性は妊娠や生理などの女性特有の体の役割があり、それが原因になって下半身寝汗になることがあります。
もし、妊娠中や生理中にだけ頻繁に下半身寝汗になるようでしたら、一度産婦人科などに行って相談してみましょう。
寒い冬に寝汗をかく原因は?
寒い冬にビッショリ汗をかいていたら、ビックリしますよね。
どうしてこんなに寝汗をかくのだろうと心配になるかもしれません。
ただ、布団の保温性が高すぎて、自然現象として寝汗をかくこともあります。
重い毛布を重ねていたり、寒いからと布団を何枚も重ねていたりすると、熱の逃げ場がなく汗がたまってしまうこともあるのです。
冬に寝汗がひどい原因は?
冬に寝汗をかくおもな原因はこちら。
・ 寝る前に熱めのお風呂に入ったり、部屋の暖房を暖めすぎたり、コタツに長くはいったりして、寝る前に身体を温めすぎている。
・ 電気毛布、電気あんか、ゆたんぽなどでふとんの中を温めている。
・ 布団や毛布、シーツやタオルケットなどで、吸水性や吸湿性の良くない寝具を使っている。
これら1つ1つでもそうですが、複合的な原因で寝汗になることも考えられます。
冷たい床のせいで水滴がたまる場合も
寝汗をかく上で、カビの発生にも注意しておきましょう。
冬に、フローリングの上にじかにマットレスを敷き布団を敷いていると、寝ていてるときは温かいのですが、床が冷えていて体温との差で、フローリングに触れるマットレスの裏がビッショリ濡れている場合もあります。
そういう場合は、フローリングに直接マットレスが触れないように、スノコ等を敷いて通気性を良くするといいですよ。
湿気はカビの原因にもなり健康にも確実によくないので、布団乾燥機などでマットレスや布団を乾燥させておきましょう。
寝汗の対処や予防方法は?食生活の改善は?
睡眠時に汗をかくのは自然なことです。
水分を極端に制限したり気にし過ぎたりは、かえって体に負担がかかります。
それよりも、汗をかいても快適に過ごせるように工夫してみるのも良いでしょう。
たとえば、吸湿性のいいフェイスタオルを枕に敷いて寝ると頭の寝汗が気になりません。
速乾消臭機能付きの枕やシーツもおすすめです。
おもに、内的な対処法と、環境的な対処法をご紹介します。
内的要因への対処や予防方法は?
・ ゆったり入浴するなどの気分転換をはかり、できるだけストレスを軽減する。
・ 寝る前にコップ1杯のお水を飲むことで、汗がべたつかなくなる効果があります。
・ 規則正しい生活を心がけ、体内時計を正確にすることで自律神経の安定をはかる。
・ ストレッチなど適度な運動をして、身体と呼吸のリズムを整える。
・ 寝る前2時間は食べ物は摂らず、スマホも控えましょう。
・ 汗をかきやすくなるアルコールを控える。
・ 頭に汗をかきやすい場合は、氷枕で頭を冷やすという方法もあります。
入浴後は、汗や水分が乾いた状態になってから布団に入るようにしましょう。
環境的要因への対処や予防方法は?
・ 寝室の冷暖房の調整や適度な除湿を心がけ、快適な睡眠環境を整える。
(寝ている時の布団の中の環境は「温度33度、湿度60%」が最適と言われています)
・ 吸水性に優れたパジャマやシーツ、枕カバーを使い、こまめに洗濯をする。
・ 寝床内気象(布団の中の温湿度)の最適化をはかり、温め過ぎない。
寝具のおすすめは羽毛布団です。
薄く軽くても保温性が高く、通気性に優れています。
保温しながら発汗の水分を外部に逃がしてくれますよ。
食生活で寝汗を改善!
味覚性発汗というものがあります。
辛いカレーや、唐辛子をたくさん使った料理を食べると発汗しやすくなるので、寝る前に香辛料たっぷりの料理は控えましょう。
正常な自律神経の働きを高めるために、バランスの良い食生活への見直しが大切です。
完全な食生活がむずかしい場合は、青汁を飲んだり、ビタミン、ミネラルのサプリメントを摂るなども必要かもしれません。
ニラは、血液の循環を良くし、自律神経の働きを刺激する働きがあります。
毎食のお味噌汁にニラを入れて食べるのもおすすめですよ。
寝汗は体からのサイン
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寝汗は、快適な睡眠のための体温の調節に、重要な役割を果たしています。
私たちが眠りはじめるとき、体温は下がり始めているのですが、深い眠りにつくためには、さらに0.5〜1℃ほど低下させる必要があります。
そのために汗腺を活発に働かせ、汗をかくことで体温の調節をしているというわけなのです。
ただし、突然大量の寝汗がおこる原因には、単なる一時的な身体の不調だけではなく、重篤な病気の可能性があることも忘れてはなりません。
ほかに症状がないか確認するためにも診察を受けた方が良い場合もあります。
たかが寝汗、ではなく、身体からの重要なサインとしてとらえていきましょう。