インフルエンザ予防【湿度・温度対策】a型、b型、c型とは?併発する?
インフルエンザを予防するには湿度管理が重要だとご存知でしたでしょうか。
実はただ加湿すれば良いわけではなく、室温管理も重要なんです。
そこで、インフルエンザを予防するために最適な温度と湿度についてご紹介します。
また、インフルエンザa型とb型、c型の特徴や症状などについても記載してありますのでぜひ参考になさってみてくださいね。
この記事の目次
インフルエンザウイルスと温度・湿度の関係は?
インフルエンザの感染率には温度や湿度と深い関係があります。
その根拠は1961年にG.J.Harperという人によって発表された「survival test with for viruses」という論文。
この論文の内容の結果から、インフルエンザウイルスは「高温・多湿」によって死滅するものと考えられてきました。しかし実際はそれだけではありません。
高温・多湿だけで死滅するなら、世界的に見ても熱帯地方でインフルエンザが流行するはずがありませんね。
しかし現実は、熱帯地方でもインフルエンザは流行します。
しかも多湿なはずの雨季にです。
インフルエンザが死滅する理由
正確には、インフルエンザウイルスは高温・多湿のときに空気中の水分によってウイルス自体が重くなり、遠くまで飛ばなくなります。
その結果、空気中に浮遊している間に、「紫外線」や「時間の経過」によって死滅する確率が高くなるのです。
だから熱帯地方でも、雨季には紫外線が減少するので流行することがあるのです。
過去に日本でも、平年以上に降水量の多かった夏に、インフルエンザが流行したことがあります。
とはいうものの、日本の冬の時期において、室内の紫外線の量を調節するのは不可能に近いですね。
やはりここは「温度と湿度」で対処するしかなさそうです。
のどの粘膜と湿度の関係は?
湿度が低いとのどを痛めやすく感染しやすい
インフルエンザが冬に流行するのにはほかにも訳があります。
それはのど(気道)の粘膜。
気道の粘膜は、適度な湿度のときには、ウイルスの侵入を防御してくれる役割を果たしています。
ところがこの粘膜は乾燥に弱く、湿度が低下すると荒れてしまい、インフルエンザウイルスの侵入を許してしまうのです。
みなさんも「空気が乾燥し過ぎてのどがイガイガする」といった経験はありませんか?
それは空気の乾燥によって、のどの粘膜が荒れてしまった状態にほかなりません。
空気中では増殖しない
インフルエンザウイルスは、ヒト(生物)の細胞内において増殖するのであって空気中では増殖しません。ただ浮遊しているだけです。
空気中のウイルスが増殖しない以上、のど(気道)の粘膜の防御機能の低下を抑えることは、インフルエンザを予防する上での重要なファクターと言えます。
これは、厚生労働省の見解においても発表されています。
湿度を保つ
空気が乾燥すると気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。
特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。
「快適」と感じる温度と湿度は?
インフルエンザウイルスは温度32℃、湿度80%で完全に死滅するとなっています。
しかしそんな高温多湿では、私たち人間も「不快」に感じてしまいますよね。
湿度80%では、たとえウイルスが死滅したとしても、今度はダニやカビが増殖するでしょう。
第一、冬場に32℃の室温なんて保てるはずがありません^ ^;
快適な温度や湿度とは?
私たち人間は、どのくらいの室内温度と湿度を「快適」と感じるのかというとこちら。
【夏場】室内温度25℃~28℃、湿度55%~65%
【冬場】室内温度18℃~22℃、湿度45%~60%
あくまで個人差がありますが、平均するとこのようになります。
私たちが冬場に快適に感じる温度、18℃~22℃は、インフルエンザウイルスを死滅させる温度としても理にかなっています。
それ以下の温度下においては、湿度をいくら上げてもインフルエンザウイルスの生存率が30%以上あるからです。
これをもとに、冬場の快適温度18℃~22℃において、インフルエンザウイルスを全滅とまではいかなくても、かなりの割合(90%以上)で死滅させ、なおかつ、のどの粘膜を正常に保つ湿度を探っていきましょう。
インフルエンザを予防するために最適な温度と湿度は?
冬場の快適な室内温度18℃~22℃において、湿度を変化させるとこのようになります。
・ウイルスを90%以上死滅させるには→『湿度50%以上』
・のどの粘膜を正常に保つには →『湿度40%~60%』
・快適と感じるには →『湿度45%~60%』
よって、冬場にインフルエンザを予防するために最適な温度と湿度は、室内温度18℃~22℃、湿度50%~60%になります。
インフルエンザ警報付き温湿度計
冬場にインフルエンザを予防するために最適な室温と湿度は、室内温度18℃~22℃、湿度50%~60%ということがわかりました。
しかし室温が18℃以下の時や22℃以上のときもありますし、四六時中湿度計を見張っているわけにもいきません。
今は、インフルエンザ警報付き温湿度計というものが発売されています。
室内の絶対湿度を計測して相対湿度に換算し、アイコンとLEDランプによって警告。
暖房・加湿の対処法も表示してくれます。
夏場の熱中症の警告も発してくれる優れもの。
熱中症警告にはブザー機能も付いています。
お値段は2,000円台~3,000円程度。
お気に召した方はぜひ検討してみてくださいね。
インフルエンザのためではなくとも、室内の温度や湿度を常に確認できるとなにかと便利ですよ。
インフルエンザウイルスの予防対策方法は?
インフルエンザ予防としては、オーソドックスな、手洗い・うがい・人ごみでのマスクの着用などを別として、室温と湿度の管理が重要であることはご説明しました。
特に、暖房にエアコンや電気ストーブを使用する場合は、加湿不足が深刻になります。
排気を室内に出すファンヒーターや石油ストーブは、燃焼によって水蒸気が発生するので加湿量が少なくてすみますが、エアコンや電気ストーブは水蒸気を全く発生させないからです。
加湿する方法は?
部屋に加湿をしたい場合、加湿器のほか、室内で洗濯物を干す、カーテンに霧を吹くといった方法が効果がありますよ。
なお、濡れたタオルを1枚程度干しただけでは湿度を50%以上に保つことは不可能という実験データがあります。
換気でもOK
そのほかには適度な換気が挙げられます。
室温を一定に保つため、冬場はどうしても室内を密閉しがち。
ウイルスが死滅するのを待つより、適度な換気によって空気中に浮遊しているウイルスの絶対数を減らすことも重要です。
ホコリが入りやすくて掃除が大変など、窓を開けたくない場合は、換気扇をつけるのもおすすめです。
インフルエンザウイルスは死なない?
ここまで説明してきて、今更なのですが、実はインフルエンザウイルスは「死滅」しません。
インフルエンザウイルスは、その名のとおり「ウイルス」です。
ウイルスは「生物」の定義である細胞を持っていません。
だから「生きている」と言うのとはちょっと違います。
生きていないのだから、厳密に言うと「死ぬ」ことも「死滅」することもありません。
ただし、不活性化する、壊れることはあります。
今まで便宜上、たびたび「死滅する」という言葉を使用してきましたが、実はウイルスが不活性化すること、壊れることを示しています。
インフルエンザa型の特徴と症状は?流行期は?
特徴は?
インフルエンザa型は、ウィルスの形が毎年少しずつ変化します。
ということは、ウィルスの形は毎年同じではないので、ワクチンが間に合わず感染してしまうこともあります。
また、変化するのでウィルスの種類も多く144種類ありますが、人に感染するのはその中の一部のウィルスです。
少しずつ変化するウィルスですが、30~40年に一度大きく変化する年があります。
スペイン風邪、アジア風邪、香港風邪、ソ連風邪など過去に大流行したインフルエンザは、大きな変化に伴って起こったものです。
ウィルスの宿主ですがa型の場合、人、鳥、豚、馬など多く持っており、あらゆる場所にウィルスが潜んでいるので感染の確率も高くなります。
症状は?
さっきまで元気に過ごしていたのに、急に身体の関節が痛くなり、あっという間に38度以上の高熱を発症します。
急に、急激に、というのがa型の特徴です。
そのほかの症状としては、激しい頭痛、咳、鼻水があります。
そのような症状が出たときには、すぐに医療機関に行きインフルエンザに感染しているかどうか検査をしてもらいましょう。
感染していた場合、インフルエンザの治療薬としてタミフル、リレンザが処方されます。
インフルエンザ発症から48時間以内に服用することで、ウィルスの増殖を抑えることができます。
効果的な薬ではありますが、副作用症状が問題になっているのも事実です。
服用する際には医師の指示通りに服用することが重要です。
流行期は?
12月~3月ですが、最も多いのは12月~1月です。
インフルエンザb型の特徴と症状は?流行期は?
特徴は?
インフルエンザb型は人から人へのみ感染します。
ウィルスは変異しにくいので種類は2種類です。
種類が少ないので、すでに体内に免疫を持っている人もいるので、重症化することもあまりなく大流行するということはありません。
ただし、相手はウイルス。
これから先、突然変異しないとも言い切れません。
症状は?
急に、急激に、ということはなく、高熱にもなりにくいのでインフルエンザと気付かないこともあります。
症状としては、くしゃみ、鼻水のほかに、下痢や嘔吐など消化器系に症状が現れます。
通常の風邪と勘違いしやすいので、外出すると感染を広めてしまうこともあります。
流行期に、通常の風邪プラス消化器系に症状が出たときには、医療機関でインフルエンザ師の指示通り正しく服用し、身体をゆっくり休ませてあげます。
熱が高くないとはいえ消化器官系で症状が出ているので、脱水症状にならないように、こまめに水分補給をしましょう。
流行期は?
2~3月に最も流行します。
以前は隔年で流行していましたが、最近では毎年流行しているようです。
a型とb型とc型の違いは?併発はする?
インフルエンザa型とb型とc型の違い
a型 | b型 | c型 | |
流行期 | 12月~1月 | 2月~3月 | 通年 |
特徴的な症状 | 急激な高熱(38度以上)と関節痛 | 下痢や嘔吐など消化器系 | 鼻水、くしゃみ、咳、呼吸器系 |
完治までの期間 | 1週間前後 | 7日~10日 | 1週間前後 |
ウィルスの種類 | 144種類 | 2種類 | 1種類 |
ウィルスの宿主 | 人、鳥、豚、馬など | 人 | 人、豚 |
どの型のインフルエンザなのかを見極めるのに大切なのは、症状の特徴です。
流行期は重なることもあるでしょうし、完治するまでの期間も年齢、ライフスタイルによって個々に違ってきます。
インフルエンザc型
あまり耳にすることのない型ですが、ほとんどの人が5~7歳までに感染し抗体を持っています。
生涯抗体を保持することができるので、感染しても症状が出ることほとんどありません。
仮に感染したとしても『風邪かな?』くらいで終わってしまいます。
インフルエンザ検査に用いられる『迅速診断キット』ではa型とb型しか検出できないので、c型に感染していたとしても診断することはできません。
また、症状が出ても風邪と同じくらいの症状なので、ワクチンもありませんし、タミフル、リレンザなどの抗インフルエンザ薬もc型には効かないので処方されることはありません。
とはいえ、多くは小さな子供が感染します。
『風邪』と思っていても『インフルエンザc型』ということもあるので、十分な休息と栄養をとり安静にしましょう。
併発の可能性はある?治療法は?
インフルエンザと風邪は併発することがあります。
が、インフルエンザの症状が強すぎて、風邪の症状に気付かないことが多いようです。
併発した場合は、インフルエンザの重症化を避けるためにも、インフルエンザの治療を優先します。
自分や周りの人たちのために予防対策をしっかりと。
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湿度や温度から見るインフルエンザ予防、そしてa型・b型・c型などについてお送りしました。
湿度や温度についてまとめるとこのようになります。
・インフルエンザを予防するためには、室温18℃~22℃、湿度50%~60%が最適。
・室温が低いと加湿しても効果が上がらない。
・エアコン、電気ストーブ使用時は特に加湿不足に注意する。
・適度な換気を心がける。
また、今シーズンはインフルエンザa型に感染したので、もうインフルエンザに感染することはない!と安心してはいけません。
インフルエンザa型の免疫は持っていても、b型の免疫がないので感染することはあります。
流行している期間は外出を避けた方がよいですが、そうはいきませんよね。
大切なことは『予防』です。
・帰宅したらすぐに、手洗いとうがいを十分に行いましょう。
・万が一感染したとき、ウィルスと闘うために必要な体力を温存しておきましょう。そのためには十分な栄養と睡眠が大切です。
・加湿器などを使い、ウィルスが増殖しない室内環境を作りましょう。
ウィルスに感染しないように、感染を拡大させないように、ひとりひとりが『予防』を心がけ楽しい冬を過ごしましょう!