【ウイルス性胃腸炎の症状と原因】潜伏期間や感染経路は?対策方法は?
あれ?風邪かな‥と思ったら、またたく間に激しい下痢や嘔吐がおさまらなくなった経験はありませんか。
ノロウイルスに代表されるウイルス性胃腸炎。
このウイルス性胃腸炎は実は「秋から冬場」に流行するのです。
今回は、ウイルス性胃腸炎の症状や原因、潜伏期間や感染経路、対策方法などをご紹介します。
罹患(りかん・病気にかかること)しないようにしっかり予防と対策をたてていきましょう。
この記事の目次
ウイルス性胃腸炎はどんな病気?症状は?
ウイルス性胃腸炎は「お腹の風邪」とも呼ばれる病気ですが、その症状は風邪よりかなり重症になるケースが多いです。
ウイルス性胃腸炎の症状
ウイルスによって多少の違いがありますが、初期には咳や鼻水、微熱が出ることがあり、風邪とよく間違うことがあります。
次第に激しい嘔吐と下痢症状、それにともない発熱や、場合によっては脱水症状がみられるようになります。
激しい腹痛や咽頭痛をともなう場合もあります。
こちらはノロウイルスについて分かりやすく解説した動画(約2分47秒)です。
『ノロウイルス感染症の基礎知識』
感染性胃腸炎とウイルス性胃腸炎
ウイルス性胃腸炎は、大きく分類すると『感染性胃腸炎』という分類になり、感染性胃腸炎の中には、「細菌性胃腸炎」と「ウイルス性胃腸炎」があります。
細菌性胃腸炎はサルモネラ菌、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌などが代表的で、おもに夏場に流行する特徴があり、夏場の食中毒はこれらが原因によって起こります。
一方ウイルス性胃腸炎はロタウイルス、アデノウイルス、ノロウイルスなどで、これはおもに冬場に流行する特徴があります。
特にノロウイルスは幼児から成人まで幅広くかかりやすく、体力の低い幼児や老人はその症状が重症になりやすいことから、十分な留意が必要です。
次にウイルス性胃腸炎やノロウイルスについてもう少し詳しく説明していきますね。
ウイルス性胃腸炎の原因は?
ウイルス性胃腸炎の原因には大きく分けて下記の3つがあります。
・ ノロウイルス
・ ロタウイルス
・ アデノウイルス
1つずつその特徴を詳しくあげていきますが、前述したように、冬場のウイルス性胃腸炎のほとんどは “ノロウイルス” によるものであるといえます。
ノロウイルス
幼児から成人まで幅広く罹患報告があげられています。
初期症状で微熱を発し、徐々に嘔吐と下痢症状がみられ、激しい腹痛をともなうことが特徴です。
嘔吐は幼児に特に多くみられ、一般成人は下痢症状の方が強く出る傾向があります。
特に体力のない幼児や老人などは、嘔吐と発熱による脱水症状に注意が必要です。
多くは2~3日のうちに症状に回復傾向が見られます。
ロタウイルス
乳幼児に多く発症します。
おもに嘔吐(軽い場合は発症しない)と下痢症状がみられ、それにともなう発熱や脱水症状がみられます。
下痢症状は「白色便下痢症」と呼ばれる、お米のとぎ汁のような便がみられるのが特徴です。
アデノウイルス
夏場のプールなどで感染するケースが多いことから、別名「プール熱」とも呼ばれています。
しかし実は冬場に感染することが少なくありません。
咽頭炎(のどの痛み・腫れ)、結膜炎(目ヤニ・目の充血)、38度~40度近い高熱がみられるのが特徴です。
アデノウイルスについてはこちらの記事もご参照ください。
ウイルス性胃腸炎はうつる?感染経路・潜伏期間・罹患期間は?
ウイルス性なので、感染の強弱はありますが、うつります。
特にノロウイルスの場合は罹患の原因には2種類あります。
① 二枚貝(特に生もの)などを食した際に罹患する(経口感染)。
② 罹患した患者から二次感染する(接触感染)。
①の食中毒の可能性がない場合は、学校や職場、家庭内流行の全ての原因は接触感染による二次感染です。
ウイルスが付着した手で口に触れたり、付着した飲食物をとることで感染します。
潜伏期間と罹患期間
それぞれの潜伏期間と罹患期間はこちら。
『ノロウイルス』潜伏期間:18~48時間、罹患期間:1~2日
『ロタウイルス』潜伏期間:1~3日、罹患期間:3~7日
『アデノウイルス』潜伏期間:7~8日、罹患期間:8~12日
特にノロウイルスは潜伏期間が短いので、家庭内においては「一度に全員が発症する」というケースが少なくないので注意が必要です。
ウイルス性胃腸炎に罹ったときの対処法は?
ウイルス性胃腸炎は基本的には自宅で対処が可能です。
原因がウイルスなので、自己回復力に頼るほかないからです。
もちろん症状が重い場合は医療機関を受診してくださいね。
嘔吐止め、下痢止めなどの対処薬を処方してもらえます。
また、嘔吐により水分を受け付けないほどの脱水症状の場合は、点滴で対処してもらえます。
まずは水分補給
嘔吐、下痢などは体外へウイルスを排出する働きをしています。
また発熱による発汗などでも水分が失われていきます。
まずはしっかり水分補給をしてください。
経口補水液(OS-1など。薬局、ドラッグストアで購入できます)やスポーツドリンクを薄めたものなどが良いでしょう。
脱水症状に十分留意してくださいね。
食事は消化の良いものを
おかゆ、りんごのすりおろしたものなど、食事は消化に良いものを。
症状が激しい間は落ち着くまでスープのうわずみ、野菜ジュースなどを利用しましょう。
症状が落ち着いてきたら、スープ → おかゆ → 消化の良い固形物 の順で2食ずつを目安に、様子をみながら戻していってください。
汚物の処理には要注意
二次感染を防ぐために、汚物の処理の際には、絶対に直接手で触らないこと。
布やペーパーで触れることもNGです。
必ず使い捨てのマスクと手袋(ない場合はビニール袋)を着用し、厳重に密封して処理しましょう。
処理が完了したら、汚染場所と自分の衣類、手などを消毒します。
消毒液の作成方法については「ウイルス性胃腸炎の予防や対策方法は?」の項目で説明します。
入浴は様子を見て最後に
発熱がおさまり、症状が回復してからは入浴してもかまいません。
ただし症状が回復してからも約2週間ほどは体内にウイルスが存在していますので、入浴する際は一番最後に入りましょう。
ウイルス性胃腸炎の予防や対策方法は?
ウイルス性胃腸炎はウイルスが口から感染することを考えると、ふだんの手洗いとうがいは有効な予防対策です。
また、食べ物にウイルスが付着しないよう、トイレの後、調理の前などにも念入りな手洗いが必要です。
特に調理器具、食器などの衛生管理には気をつけてくださいね。
またカキなどの貝類はなるべく加熱処理をして食べるようにしましょう。
85℃で1分以上の加熱が必要です。
アルコール消毒が効かない?
実はノロウイルスには乾燥やアルコール消毒は効きません。
熱には弱いので食品に関しては加熱処理をするのが良いでしょう。
調理器具、食器などは煮沸消毒するか、ハイターなどの塩素漂白剤を使用して殺菌するようにしましょう。
消毒液の作り方はこちら。
〔環境消毒用液〕
2Lのペットボトルの水に塩素系漂白剤10ml(原液キャップに2杯)
家庭内や施設においてトイレのドアノブや手すり、ソファーなど多くの人が触れる場所の消毒に使用します。
〔汚物が付着した場合の処理に使用する消毒液〕
500mlのペットボトルの水に塩素系漂白剤10ml
手洗いとうがい、加熱処理が大切
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ウイルス性胃腸炎の症状や原因、対処法などについてお送りしました。
ウイルス性胃腸炎の原因や症状、対策をまとめるとこのようになります。
・ウイルス性胃腸炎は冬場に流行し、口から感染する。
・ウイルス性胃腸炎は、風邪の症状→嘔吐、下痢、激しい腹痛
・水分補給を十分にし、自宅療養。重い場合は医療機関へ。
・二次感染に注意し、消毒液で消毒を。
・食べ物は十分に加熱処理。
・ていねいな手洗いとうがいでしっかり予防しましょう!
上記を参考にしっかり予防しつつ、万一罹患してしまった場合は適切に対処して、この冬を元気に乗り切りましょうね。