【ひな人形の飾り方(関東・関西)】時期や並べ方は?処分や供養は?
ひな祭りといえば雛人形ですが、関東と関西の慣習による飾り方の違いがあるのをご存知でしょうか。
京都で作られる雛人形は、「京雛」と呼ばれ、関西地方のひな人形の中心になっています。
この京雛は、関東地方で作られる「関東雛」とは、飾り方や飾る時期などが異なります。
なぜ、地方によって違いが生まれたのでしょうか?
今回は、関東と関西のひな人形の飾り方の違いや並べ方、飾る時期などをご紹介します。片付けるタイミング、処分や供養方法についてもご紹介しますので、どうぞご参照くださいね。
この記事の目次
ひな人形を飾る時期は?
ひな祭りは3月3日ですよね。
桃の節句とも呼ばれるひな祭りは春を告げる行事です。
そのため、ひな人形は、全国的には、節分の翌日である立春(2月4日前後)~2月中旬頃にかけて飾り始めるのが良いとされています。
飾る日に決まりはありませんが、大安吉日を選ぶと縁起がいいと言われていますよ。
逆に前日に飾るのは、「一夜飾り」と呼ばれ縁起が悪いとされていますので避けた方がいいでしょう。お正月飾りも、大みそかに飾るのは縁起が良くないといわれているのと同じことですね。
関西は旧暦で祝う?
しかし、関西地方では、旧暦のひな祭りにお祝いをする習慣が根強い傾向にあります。
ただ、関西でも全国的なひな祭りの傾向に合わせて、新暦の3月3日にも、ひな祭りイベントが行われることが多くなっています。
全国展開の百貨店やスーパーの売り出しや、情報番組の話題などに、どうしても引っ張られるのでしょう。
ひな人形の飾り方や並べ方は?
まず1~7段目の基本の並べ方となります。
そのあとに、関東と関西別の並び方をご紹介します。
【1段目】内裏雛(だいりびな)
お殿様とお姫様を飾る。
【2段目】三人官女(さんにんかんじょ)
中央に眉を剃りお歯黒をしている既婚婦人、左右に未婚女性を飾る。
【3段目】五人囃子(ごにんばやし)
向かって右から、謡(うたい)・笛・小鼓(こかわ)・大鼓(おおかわ)・太鼓。
【4段目】随身(ずいしん)
向かって右が老人(左大臣)で、左が若者(右大臣)。
【5段目】士丁(しちょう・衛士のこと)
向かって右から箒(ほうき)を持った笑い顔、ちりとりを持った怒り顔、熊手を持った泣き顔。
【6段目】嫁入り道具(よめいりどうぐ)
箪笥(たんす)・長持(ながもち)・鏡台(きょうだい)・針箱・表刺袋(うわざしぶくろ)・火鉢(ひばち)・衣裳袋(いしょうぶくろ)・茶道具など。
【7段目】輿入れ道具(こしいれどうぐ)
左から御駕籠(おかご)・重箱(じゅうばこ)・御所車(ごしょぐるま)。
関東のひな人形の飾り方は?
関東で作られた雛人形は「関東雛」と呼ばれています。
関東雛の飾り方はこちら。
【一段目】
男雛を向かって左、女雛を向かって右に飾ります。
【三段目】
官女の持ち物の飾り方は長柄銚子、加銚子、盃(三宝)となります。
【五段目】
仕丁(しちょう)の持ち物は、左から、「台傘(だいがさ)」「沓台(くつだい)」「立傘(たてがさ)」の順に並べます。
仕丁とは、昔の貴族の家の身の回りのお世話をする人のことをいいます。
この関東雛で持たせているお道具は、大名行列での仕丁の持ち物となっています。
関西のひな人形の飾り方は?
関西で作られた雛人形は「京雛」と呼ばれています。
京雛の飾り方はこちら。
【一段目】
男雛を向かって右、女雛を向かって左に飾ります。関東雛と逆になりますね。
【三段目】
官女の持ち物の飾り方ですが、関東では盃(三宝)のところが島台を持ちます。
【五段目】
仕丁の持ち物ですが、左から「熊手(くまで)」「ちりとり」「箒(ほうき)」の順に並べます。
京雛で持たせているお道具は、宮中での仕丁の持ち物となっています。
このように関東雛と京雛の飾り方には少し違いがあります。
関東と関西の雛人形の飾り方が違う理由は?
内裏雛とは?
この「内裏」というのは、天皇陛下のお住まいという意味です。つまり、お雛様は天皇皇后両陛下の様子を写し取ったものなのです。
ですから、天皇皇后両陛下の習慣が、雛人形の飾り方にも関係してきます。
関西は『右にお内裏さま、左にお雛さま』
日本の習慣では上座は向かって右側です。
これは、中国文化の影響で「左上位」とか「左上座」といわれる習慣です。
太陽が先に当たる側が「位が上」とされて、『太陽が登る東の方角が上位となる』という考え方から来ています。
日本の舞台等で、向かって右を「上手(かみて)」、向かって左を「下手(しもて)」と言うのも、このためです。
最初の雛人形の飾り方は関西風の飾り方でした。
宮中では、天皇が上座である左上座(向かって右)に座る習慣がありました。京都御所の紫宸殿の御即位の式典で、この並びだったのが由来となっています。
この習慣を模して、京都を中心とした関西では、向かって右にお内裏さま、左にお雛さまがお座りになっています。
また五段目の仕丁の持ち物が、宮中で使われているものというところからも、関西の飾り方は宮中(公家)を意識したものとなっているのが分かりますね。
関東は『右にお雛さま、左にお内裏さま』
関東では関西と逆の位置に飾られます。
この飾り方になったおもな説を2つご紹介します。
【武家の習慣】
関東ではもともと武家中心の慣習が強く、武家では座席の位置が右側が「位が上」とされていて、それで男雛を向かって左、女雛を向かって右に飾るようになったと言われています。
仕丁の持ち物が武家の持ち物を意識しており、特に江戸時代に雛人形が上位の身分の方の輿入れのお道具として持たせていたので、権力の誇示として関東の飾り方になったと言われています。
【西洋の文化】
大正天皇が即位の時に右側にお立ちになられたそうです。
これは明治時代に西洋の文化が入ってきて、西洋では右側が「位が高い」とされていたのを受け、それに習って右側にお立ちになったことから、それ以来雛人形もそのように変わったと言われています。
飾り方以外の違う点は?
飾り方以外にも違いはあるのでしょうか?
一番わかりやすいのは「お顔」の違いかと思います。
“関東雛”は目が大きめ、口元がほころんでいる、ふっくらとしたお顔
“京雛”は切れ長の目、鼻筋が通っている、京美人と言われるお顔
といわれています。
ひな人形を飾る場所や方角は?
ひな人形を実際に飾るとかなり大きいですよね。ですが住宅事情を考えると、どうしても大きさの制限が出てくる場合もあります。
マンション、アパートといった場所でも飾れるように、小さなおひな様飾りも出てきています。
そこで、一軒家でもマンションでも飾る際に気を付けることをご紹介します。
飾る方角は?
場所や方角は特に決められていません。
「南向きや東向き」が良いという話を聞きますが、それは神棚の良い方角のことで、おなじ方角のほうが縁起がいいのではないのだろうかといわれているだけです。
避けるべき場所は?
【玄関】
風水では人の形をしている物はひとりの人間としてみるので、人形にも運気が流れていくとされています。
玄関は良い運気の入ってくる場所なので、そこに人形があると、その人形に良い気を取られてしまうとのこと。また玄関は湿気があるので適しません。
【寝室や子供部屋】
人の出入りの少ない場所は、おひな様が寂しがるからよくないといわれています。人の集まるにぎやかな所がお人形さんも喜びますね。
【部屋の環境】
湿気や結露・直射日光が当たる場所は避けたほうがよいです。
また、おひな様にエアコンやファンヒーターが直接あたる場所もよくありません。これは、おひな様の顔にひびが入ったり屏風などがそったり割れたりする原因になります。
適した場所は?
上記の点に気を付けて、できれば家族みんなが見られる場所が良いですね。
小さい子供さんがいると触って壊されるのではと心配もあるかもしれませんが、それもしつけの一環として、「さわってはだめですよ」と大事にすることを覚えさせるのもよいのではないでしょうか。
ひな人形を片付ける時期や片付け方は?
片付ける時期は?
3月3日が終わったら片付けるところが多いのではないでしょうか。
一般的に片付ける時期は、ひな祭りから約2週間以内です。
地域によっては、旧暦(4月3日)まで飾っていたり、一年中お雛様を飾り続けるところもありますので、片付ける時期はそれほど気にしなくてもよいでしょう。
飾る時と同じように大安吉日に行うと縁起がいいといわれています。
ひな人形は湿気・ほこり・汚れに弱く傷みやすいので、お天気の悪い日は避けた方がいいのです。
ほぐれた筆や毛ばたきでほこりを払い、和紙などの柔らかい紙で包んで片付けてくださいね。
上手な片付け方は?
雛人形は一度しまったら、1年間保管することになるので丁寧に片付けるようにしましょう。カビが生えたり、壊れたりしては大変です。
まず最初に用意するのが、薄手の柔らかい手袋です。直接人形の顔や手に触るとシミができるので、手袋をつけて作業を行うようにしましょう。
そして上記でも書きましたが必ず晴れた日に行うようにしましょう。
【ほこりを落とす】
おすすめは柔らかい羽毛はたき。羽毛はたきできれいにほこりを落とし、細かい箇所は細筆などを使うと良いですよ。
【小さい飾りを保管】
人形の持ち物を外します。小さい箱やチャック付きのビニール袋に入れるのがおすすめです。
【人形を包む】
顔の部分は綿の布や和紙などできるだけ柔らかい素材のもので、優しくふわりと包みます。胴体についても、布や紙で優しくきれいに包んでくださいね。強く包むと型崩れの原因になりますよ。
【収納する】
箱の隅に柔らかい紙を丸めて入れていき、人形や小物が中で動かないように固定しながら収納していきましょう。
【保管する】
人形専用の防虫剤を少なめに入れます。量が多い方が防虫できる!と思って大量に入れてしまうと、防虫剤に使用されている薬剤が気化した時に、雛人形の衣類に付着し固化して布地を痛めてしまうことになりかねません。
手や顔の材質がプラスチックが使われていたり、胴体に発泡スチロールが使われている場合は薬剤が雛人形を溶かして変形させてしまったり、腐食させてしまうので防虫剤の使用は避けましょう。
また人形の持ち物・台・お道具セット・ぼんぼり・桜・橘などで樹脂製のものは、ナフタリンが溶けることがありますので入れないでください。
湿気が少なく、直射日光の当たらない場所に保管するのがベストです。
納戸や押し入れの上の段など高い場所で保管し、カビ・シミ・変色を防ぎます。片付ける場所は極度に乾燥していたり湿気の多いところは避けてくださいね。
上記の点に気を付けながら片付けましょう。分からない点は購入したお店に問い合わせるのもおすすめです。
素敵なおひな様にシミや変色などがあっては大変ですので、ゆっくり片付けてくださいね。子供と一緒に楽しくお話しながら片付けるのも良いですよ(^^)
いつまでも飾ると婚期が遅れる?飾るのは何歳まで?
早く片付けないとお嫁に行けない?
ひな祭りが終わったら、早く雛人形を片付けないと婚期が遅くなると言われますね。
ただ、どこからそのような言い伝えが生まれたのかは定かではなく、本当に婚期が遅れるという根拠はありません。
片付けるものを出しっぱなしにしておくのは、だらしがないので、それを戒めるために作られた話という説もあります。
「片付けを後回しにするようでは素敵な女性にはなれませんよ」という意味が込められているともいわれています。
料理でも作ったら作りっぱなしではキッチンは汚れてしまいますね。
雛人形の片付けだけでなく、何にしても先延ばしにしていてはルーズな性格になってしまいます。
必要なことは必要な時にすませる、ということを身に付けることが大切ということなのでしょうね。
雛人形を飾るのは何歳まで?
雛祭りは女児のすこやかな成長を祈る行事であり、厄除けとして雛人形を飾るようになったものです。
なので、こちらも何歳までは飾る、と決められていません。
人形だからいつまでも飾っておくと子供っぽいかな?と思われる方もいるかもしれませんが、お子さんがいやがらない限り飾ってあげるとよいかもしれませんね。
やはり親としてはいつまでも子のためには何かしてあげたいものですよね。
雛人形の処分方法は?
子供が大きくなった、お嫁に行った、成人を過ぎたなど、いろいろな理由で雛人形の処分を考えている方もいることでしょう。
ひな人形は、子どもの身代わりとなって災難や厄を受けてくれるお人形。基本的には、女の子が大人になっても、大事に飾り続けるのがよいとされています。
しかし住宅事情などで、どうしても処分したい場合は、どうしたらよいのでしょうか。
お祝いの飾り物である雛人形を、燃えるゴミや粗大ゴミに出すのはバチ当たりな気がして少し気が引けてしまいますよね。どう手放すのがいいのでしょうか。
必要な人に譲る
まずは、必要としている人が周りにいないか探してみましょう。親戚や友人で必要としている人がいれば譲ってあげればお互い助かりますよね。
もし身近に見当たらなければ、地域の広報チラシやジモティーなどのサイトを使って譲渡を募集してみるのもおすすめです。
本来は雛人形の譲渡は避けた方がいいとされていましたが、現在ではあまりこだわらなくなっています。大切にしてきたものだからこそ、ほかの家庭でも大切に飾ってもえらえれば人形も喜ぶはずです。
寄付する
また、寄付する方法があります。
老人施設や保育園では毎年飾り付けを行うというところが多いです。しかし、毎年飾るからこそ汚れてしまったり壊れてしまうこともあります。
一式を買い替えるのは金銭的にも大変ですので、譲り受けたいと思っている施設もありますよ。近くの施設に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
発展途上国へ寄付するという方法もあります。
外国の方は雛人形を見たことがないという方も多いです。綺麗な着物を着た雛人形は外国の方にとても喜ばれますよ。
外国への輸送費などはかかってしまう場合もありますが、異国の地で自分の雛人形が飾られるなんてことがあれば嬉しいですよね。
ネットオークション
ほかには、ネットオークションに出す方法もあります。
リサイクルショップに持って行ってもなかなか買い取ってもらうことができないようですが、ネットでは売れることもりあります。
ネットオークションでは、ちょっと変わったものが信じられないほど高価で出品されることも多いですよね。
「中古でいいから雛人形が欲しい」という人や、海外ではインテリアとして雛人形を飾るという人もいますので、そういった人たちの目にとまれば買い取ってもらえる可能性は高いでしょう。
ネットオークションに出品する場合は、1つ1つの人形の顔や着物を写真にとったり状態を詳しく説明した方が、買い手は付きやすいですよ。
雛人形の供養の方法は?自宅でも可能?
どうしても貰い手や買い手がいない場合は処分するしかありません。
その処分方法として、神社やお寺で供養してもらうという方法があります。
供養の受付をしている時期ですが、随時受付しているところもありますが、受付時期が決まっているところもありますので事前に確認が必要でしょう。
費用についても供養先によって違いがありますので、こちらも事前に確認をした方がいいでしょう。相場は3,000円~10,000円ほど。
近くで人形供養してくれる神社やお寺があれば直接持って行って供養してもらえます。遠方での供養の場合は郵送で引き受けてくれるところもあります。
また、人形供養祭といったイベントも全国各地で行われています。魂抜きという読経をしてもらえますので安心して供養してもらうことができますよ。
自宅でも供養できる?
神社で人形供養する場合、持って行ったり費用が掛かるなど手間がかかるので面倒に感じる方もいることでしょう。
また、大切な人形だからこそ自分で供養したいと思う方もいると思います。
実は、自宅でも供養することはできるんですよ。その方法についてご紹介しますね。
自宅での供養に必要なものは、清潔な布と和紙、塩だけ。
まずは、人形の顔を清潔な布で拭いてあげましょう。今までありがとうという気持ちを込めて拭きあげてくださいね。
綺麗になったら、和紙の上に人形を置き塩を振りかけて包みます。
これで供養は完了です。次はお焚き上げです。
供養が終わった人形はお焚き上げをしましょう。
なかなかお焚き上げまではできないという場合は、ごみとして処分することもできますよ。
自分で供養する時に、必ずこうしなければならないという決まりはありません。
今までの感謝の気持ちを伝えるということが大切なので、「ありがとう」と人形に伝えながら供養してあげてくださいね。
ひな祭りとは?
ひな祭りの意味は?
ひな祭りは、女の子の健やかな成長を願うという意味が込められた行事です。しかし、元は少し違う意味の込められた行事だったんですよ。
ひな祭りの起源は、「季節の変わり目に、災難や厄から身を守り、良い幕開けができますように」と願うための節句が始まりとされています。ですから、今のように女の子のためというわけではなく、男女共通の行事だったんですね。
ひな祭りの由来は?
かつての日本では1年を二十四等分して、田植えや収穫の目安とし、その変わり目の日を節として名前を付けていました。
その節の中でも最も気候の変わり目が激しい五つの節を五節句とし、この時期を無事に過ごせるように無病息災の厄祓いの日としました。
五節句とは1月7日の人日の節句(七草の節句)、3月3日の上巳の節句(桃の節句)、5月5日の端午の節句(菖蒲の節句)、7月7日の七夕の節句(笹の節句)、9月9日の重陽の節句(菊の節句)の五つです。別名の方が馴染みのある方も多いですよね。
この五節句には宮廷で宴が開かれ、その季節にふさわしい料理やお酒を飲んでいました。ひな祭りの元である上巳の節句(桃の節句)には、菱餅や白酒が用意されていました。
流し雛
古代中国では、この上巳の節句に、川で体を清め無病息災を願う風習がありました。
それが日本に伝わった時に、人に代わって紙や草で作った人形を川や海に流して祓い清める『流し雛』という形で定着していきました。
また、この頃の宮廷の子供たちの間で、小さな人形で遊ぶ今でいうおままごとが流行していたため、この人形を身代わりに穢れを清めるため川に流したことが流し雛へと変化したともいわれています。
人形を作る技術が進歩していく中で、だんだんと人形を飾るという習慣に変化していき、江戸時代には庶民にまでこの習慣が広がっていきました。
飾りはどんどんと豪華さや大きさ、作りの精密さを増していったため、制限をつけるために将軍令のお触れが出たともいわれています。
ひな壇の人物は?
雛人形は日本の昔の貴族社会が表現されています。
お内裏様とお雛様
ひな壇の一番上には新王が飾られます。新王とは内裏雛の別名で、お内裏様とお雛様のことです。
男女一対で、左に男雛、右に女雛を飾るのが関東式、右に男雛、左に女雛を飾るのが関西式です。
三人官女
二段目には三人官女が並びます。
三人官女は内裏様のお世話をする役割の女性たちです。三人のうち中央の女性は座り姿、左右の女性は立ち姿です。
左の女性から、長柄(ながえ)の銚子、三方、くわえの銚子を持っています。真ん中の女性は既婚者のためお歯黒をしています。
五人囃子
三段目には五人囃子です。この五人囃子は太鼓や笛をもった楽団です。
左から太鼓、大鼓、鼓、笛、謡の順に並んでいます。五人囃子は美しい音楽で宴の盛り上げ役です。
左大臣・右大臣
四段目には随身と呼ばれるものが飾られます。随身とは右大臣と左大臣のことで、ひな祭りの歌にも登場するので聞いたことはあると思います。
右大臣、左大臣は貴族のボディーガード役。向かって右側に左大臣、右側に右大臣が飾られます。
どちらも弓矢を持っていますが、髭のある老人が左大臣で髭のない若者が右大臣です。二体の間にはお膳と菱台が飾られます。
仕丁
五段目には仕丁(しちょう)と呼ばれる、ご主人様の身の回りのお世話をする役職の三人が並びます。
この三人はそれぞれで持ち物も表情にも違いがあります。向かって左から怒り顔で台傘(だいがさ)を持った男性、泣き顔で沓台(くつだい)を持った男性、右には笑い顔で立傘(たちがさ)を持った男性です。
三人の両端には向かって左に橘の木、右に桜の木が飾られます。
仕丁の三人はそれぞれに持ち物がありますが、地域によって持たせるものに違いがあります。
関東では傘などを持っていますが、京都では御所の掃除道具の熊手やちりとりなどが持たされています。
嫁入り道具
最後に六段目、七段目ですが、こちらにはお雛様の嫁入り道具の調度品が飾られます。
雛人形は災難を身代わりになって受けると考えられていたこともあり、結婚によって受けるトラブルや災難の身代わりになってくれるようにといった願いが込められているといわれています。
おひな様は女の子の守り神
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雛人形の飾り方や関東・関西の違い、飾る時期などについてお送りしました。
京都を中心にした関西地方は、古式に則(のっと)った習慣が根付いているため、
・ 左上座(向かって右)に男雛を座らせる
ということが分かりました。
皇居では、西欧の習慣に倣って、Right on the first(右上座)となりましたが、京雛が、いにしえの御所の姿を守り伝えているというのも、面白いものですね。
飾り方に正解はありませんので、お人形さんへ感謝しつつ、各家庭それぞれ好きな方で飾ってくださいね。