雛人形の飾り方が関東と関西で違う理由は?関東雛・京雛並べ方。
雛人形を見ていると女性なら心浮き立つものがありますよね。
時間を忘れて雛人形を眺めていたりしたこともあるのではないでしょうか。
そんな雛人形に、関東と関西の慣習による飾り方の違いがあるのをご存知でしょうか?
今回は雛人形の飾り方の違いや由来、またその他の違いなどについてお話しをさせていただきたいと思います。
・関東の雛人形の飾り方は?
・関西の雛人形の飾り方は?
・関東と関西の雛人形の飾り方が違う理由は?
・関東と関西で雛人形の正しい並べ方はどっち?
・関東と関西の雛人形で飾り方以外の違う点は?
関東の雛人形の飾り方は?
関東で作られた雛人形は「関東雛」と呼ばれています。
それでは関東の雛人形の飾り方についてお話させていただきます。
・一段目
男雛を向かって左、女雛を向かって右に飾ります。
・三段目
官女の持ち物の飾り方ですが長柄銚子、加銚子、盃(三宝)となります。
・五段目
仕丁(しちょう)の持ち物ですが、左から、「台傘(だいがさ)」「沓台(くつだい)」「立傘(たてがさ)」の順に並べます。
ここでこの仕丁という役割を説明させていただきますね。
仕丁とは昔の貴族の家の身の回りのお世話をする人のことをいいます。
この関東雛で持たせているお道具は、大名行列での仕丁の持ち物となっています。
関西の雛人形の飾り方は?
関西で作られた雛人形は「京雛」と呼ばれています。
それでは関西の雛人形の飾り方についてお話させていただきます。
・一段目
男雛を向かって右、女雛を向かって左に飾ります。
関東雛と逆になりますね。
・三段目
官女の持ち物の飾り方ですが、関東では盃(三宝)のところが島台を持ちます。
・五段目
仕丁の持ち物ですが、左から「熊手(くまで)」「ちりとり」「箒(ほうき)」の順に並べます。
京雛で持たせているお道具は宮中での仕丁の持ち物となっています。
このように関東雛と京雛の飾り方には少し違いがあります。
関東と関西の雛人形の飾り方が違う理由は?
なぜ関東と関西では雛人形の飾り方が違うのかにつきましては、いろいろな説があります。
関西の飾り方について
それでは先に関西の飾り方についてお話させていただきたいと思います。
最初の雛人形の飾り方は関西風の飾り方だったのです。
また五段目の仕丁の持ち物が宮中で使われているものというところからも、関西の飾り方は宮中(公家)を意識したものとなっています。
関東の飾り方について
次に関東の飾り方についてお話させていただきたいと思います。
いつ頃から、またどうしてこの関東の飾り方になったかについて、さまざまな説があるので代表的な説3つをお話させていただきますね。
【武家の習慣】
関東ではもともと武家中心の慣習が強く、武家では座席の位置が右側が「位が上」とされていて、それで男雛を向かって左、女雛を向かって右に飾るようになったと言われています。
仕丁の持ち物が武家の持ち物を意識しており、特に江戸時代に雛人形が上位の身分の方の輿入れのお道具として持たせていたので、権力の誇示として関東の飾り方になったと言われています。
【西洋の文化】
大正天皇が即位の時に右側にお立ちになられたそうです。
これは明治時代に西洋の文化が入ってきて、西洋では右側が「位が高い」とされていたのを受け、それに習って右側にお立ちになったことから、それ以来雛人形もそのように変わったと言われています。
【天皇の即位式】
昭和天皇の即位式が初めて新聞に載って、その時に天皇皇后両陛下の位置を参考にして東京の雛人形界で右(向かって左側)が男雛、左(向かって右側)が女雛と決めたそうです。
関東と関西で雛人形の正しい並べ方はどっち?
では「どちらが正しい並べ方なの?」という疑問が出てきます。
これはどちらも正しいというべきなのでしょう。
このように地方や時代の特色を残して脈々と受け継がれていくことは、それぞれに意味があったからこそ。
ですので、関東・関西それぞれの雛人形の並べ方をそのまま残していくのが良い形なのではないでしょうか。
関東と関西の雛人形で飾り方以外の違う点は?
それでは飾り方以外にも違いはあるのでしょうか?
一番わかりやすいのは「お顔」の違いかと思います。
“関東雛”は目が大きめ、口元がほころんでいる、ふっくらとしたお顔
“京雛”は切れ長の目、鼻筋が通っている、京美人と言われるお顔
といわれています。
雛人形の飾り方には地方の伝統が息づいています。
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日本は、昔は京都を中心に栄え、その後武家の文化が関東に発祥して依頼、現在東京を中心として文化が栄えてきています。
文化はその時代の特色をよく残してくれている立派な財産です。
どちらも大事にしていってほしいものです。
また雛人形にこめられた子供の健康を願う親の気持ちを胸に、綺麗に飾ってあげると雛人形も喜ぶのではないでしょうか。