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懲戒処分の意味。種類や内容は?公務員と民間企業の違いは?


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残念な場面で耳にする懲戒処分という言葉。

 

できることなら出会いたくはない言葉ですが、必要性があるので存在しています。

 

社会の一員として、この言葉の意味の重要性を見ていきましょう。

・懲戒処分の意味は?
・懲戒処分の種類と内容は?
・懲戒処分の基準は?
・公務員と民間企業の懲戒処分の違いは?

 

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懲戒処分の意味は?

意味 基準
懲戒処分とは、企業(使用者)が問題行動を起こした従業員に対して課す制裁を意味します。

 

目的としては

・企業が組織として成り立ち、事業をスムーズに運営、維持するため
・問題行動を起こした従業員だけではなく、その他の従業員に懲戒処分を受けた従業員の問題行動は正しくない行為であることを示すため

があり、企業という組織を守るための『企業秩序』維持に必要なものです。

 

ですから従業員は企業に雇用されることにより、働く義務と企業秩序を守る義務を負う必要があります。

 


懲戒処分の基準は?

規定 事由

懲戒処分を行うためには、あらかじめ『就業規則』を作成し、懲戒に関する規定『懲戒の対象となる事由(理由・原因)と懲戒処分の種別(種類)』を定めておく必要があります。

 

懲戒処分の基準は、懲戒処分の対象となる事由が職業や団体によって異なるため一律に定められてはいません。

主な事由として

 

経歴詐称

最終学歴や職歴、犯罪歴などの経歴詐称

 

業務命令違反

企業が出した業務命令に反した場合

 

職場規律違反(服務規律違反)

就業規則に記載してある職場規律(服務規律)に反した行為をした場合

 

私生活上の非行

私生活上の非行により企業が名誉や信用を失った場合

 

企業の施設・物品の私的利用

従業員なら…と思ってしまいがちですが、就業規則で禁止されている場合は使用できません。

 

最近は、コンピューターネットワーク(会社のメールを私的に利用する)の私的使用を禁止する企業が増えています。

 

二重就職・兼業

企業の利益を損なうことがあるので、他社で働いたり事業を起こしたりすることを禁止している企業もあります。

 

時代の流れ

最近は、セクシャルハラスメントなどがよく問題になることから、嫌がらせや迷惑行為であるハラスメントも懲戒事由に加える企業も増えてきました。

 

いずれも、刑事違反になりそうな犯罪行為が懲戒事由にあげられています。

 

一度、ご自身の企業の就業規則を見て懲戒処分の基準、事由の確認をおすすめします。

 

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懲戒処分の種類と内容は?

懲戒処分 内容
戒告、譴責(けんせき)、減給処分、出勤停止、諭旨解雇(ゆしかいこ)、懲戒解雇が一般的ですが、企業によっては異なる場合もあります。

 

戒告、譴責

懲戒処分の中では最もい処分になります。

戒告、譴責よりも軽い訓告を処分に加えている企業もあります。

 

訓告はイエローカードのようなもので、戒告は口頭または書面での反省を求め、譴責では書面でも反省を求めます。

 

問題行動の行為を確認・反省し、今後同様の問題行動は行わないことを誓約することを記載し始末書や報告書として提出します。

 

この処分では、昇給や賞与の査定に影響が出ると考えられます。

 

減給処分

従業員がもらえる賃金から一定額を差し引く処分です。

 

企業が決めた金額を差し引いてよいというものではなく、労働基準法第91条の減給規定を守らなくてはいけません。

・1回の懲戒処分の減給総額が平均賃金の1日の半額を超えてはならない。
(例)1日の平均賃金が1万円の場合、5,000円を超えてはいけないことになります。
・一賃金支払期(通常は1ヵ月)に複数の懲戒処分に対する減給を行う場合は、賃金総額の10分の1を超えてはならない。
(例)1ヵ月20万円の場合、2万円が月の減給上限額になります。

 

出勤停止

労働の契約は継続されたまま問題行動に対する制裁として、一定期間の就労を禁止する処分です。

 

休業の原因は問題行動を起こした本人であり会社の都合によるものではないため、出勤停止期間中の賃金は支給されません。

 

また、勤続年数としてカウントされることもありません。

 

出勤停止期間の上限は労働基準法で規制されていませんが、一般的には1週間から1ヵ月未満が多いようです。

 

降格

役職・職位などを引き下げられたり、返上したりする処分です。

 

これに伴い、役職手当として支払われていた手当がもらえなくなります。

 

減給処分の場合は期間が終われば給料は元に戻りますが、降格処分の場合は再び役職が与えられるまで給料が元に戻ることはありません。

 

諭旨解雇(ゆしかいこ)

懲戒処分対象の従業員に『懲戒解雇』に相当する問題行為があった事実が残らないように、その従業員に対して『退職届』の提出を促し『自己都合による退職』という形で退職させる処分です。

 

普通解雇(懲戒解雇・整理解雇以外)を『諭旨解雇』と定義付けしている企業が多いようです。

 

なお、『退職届』の提出を拒んだ場合には『懲戒解雇』とされることが一般的です。

 

懲戒解雇

懲戒処分の中で最もい処分になります。

問題行動を起こした従業員を解雇する処分です。

 

従業員を解雇するにあたり、解雇予告または解雇予告手当の支払いなど適正な手続きを踏まなければいけません。

 

懲戒解雇は企業側にとってもリスクが高くなるため、特別な事情がない限り懲戒解雇を行うことはないようです。

 

懲戒処分を行うためには…

就業規則の根拠が必要
従業員の問題行動が就業規則に定められている懲戒事由に該当するかどうか。 

相当性のルール
懲戒処分が問題行動の内容に対して重すぎないかどうか。
重すぎると無効になります。

一事不再理のルール
1回の問題行動に2回の懲戒処分を行うことはできません。

1回の問題行動に対して処分は1回のみです。

以上の3つのルールを守らなければ懲戒処分は無効である、と労働契約法第15条で定められています。

 

公務員と民間企業の懲戒処分の違いは?

公務員 民間企業
公務員は、全体の奉仕者として公共の利益のため、国民すべての人々のことを考えて働くという義務を負っています。

 

懲戒処分は、公務員制度を公正に効率よく運営するために設けられている、中央人事行政機関『人事院』によって指針が定められています。

 

主な指針

一般服務関係

秘密を漏洩した場合、入札・談合などに関与する行為、ハラスメントなど

 

公金官物取扱い

横領、窃盗、詐欺など

 

公務外非関係

放火、殺人、恐喝、麻薬・覚せい剤などの所持または使用など

 

交通法規違反

飲酒運転、交通事故など

 

これら事由は法律で定められています。

 

懲戒処分の種類と内容

国家公務員法第82条および地方公務員法第29条に定めてあります。

 

訓告、戒告、減給、停職、懲戒免職があり、訓告を除く4つの処分は法が定める懲戒処分になります。

 

訓告、戒告

民間企業と内容はあまり変わりません。

口頭や書面での注意になります。

 

減給

国家公務員の場合は1年以下と期間が決まっており、棒給(国家公務員に対して支払われる給料)の5分の1以下の減給になります。

 

停職

職員としての身分を保持させたまま、一定期間職務に従事させない処分です。

 

国家公務員の場合は1日以上1年以下と期間が決められており、停職期間中に給与は支給されません。

 

懲戒免職

民間企業の懲戒解雇に相当します。

 

免職の『免』には官職を解くという意味があり、公務員の資格を剝奪されることになります。

 

戒め

社会 組織
人が多く集まると、大きさはありますが問題は起こるものです。

 

組織は、そこにいる人達が同じ方向を向いてより良くしようと頑張っている場所だと思います。

その中で誰かが全く違った方向を向いてしまったら、かみ合っていた歯車が止まってしまいます。

 

止まってしまった歯車の問題は、組織だけではなく社会全体の問題になってしまうかもしれません。

 

懲戒処分は、公務員・民間企業だけではなく全ての人達への戒めのような気がします。

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